醤油にわさびを溶かすのは残念な理由
マナーにはそもそも「相手の立場に立つ」という大前提があります。このお醤油にわさびを溶かす溶かさない問題に関しては、わさびの成分を考えるところからはじまっています。本わさびのからみ成分は揮発性。これはお醤油と混ぜると水分に溶け込んでしまい、風味が損なわれてしまいます。そのため、特に高級料亭などで出てくる本わさびを、お醤油で溶かすのは残念なことになりますね、ということなのです。
わさびとひと言で言っても、さまざまなわさびがあります。また、その食べ方は本来は自由と言ってもいいでしょう。しかし、その立場に立ったときに、その特性を生かした食べ方をしようとするその配慮があるかどうかがポイントとなるわけです。このような理由から、わさびはお醤油で溶かずに、お刺身に適量を直接付けて食べることで、わさびに対する配慮を感じられ、素敵な人だな、と思ってもらえるわけです。
さらに、自分は好きに食べてどう評価をされても自業自得ですが、これが仕事関係者や家族との大切な会食の場面では、同行者に恥をかかせてしまうことになりかねません。自分以外の人や物への配慮からなるマナーだと心得ていれば、どんなときにも迷うことなく対応できます。
「和食」はユネスコの無形文化遺産に登録されています。マナーの型以前の本質を知ることで、納得することもありますね。
お寿司を食べるときは手でもお箸でもOK
家族や同僚と一緒だと気軽に食べられる、お寿司や天ぷらや串物。ところが、いざビジネスシーンで取引先と食べるとなると、正しい食べ方を知らなかったゆえに、恥ずかしい思いをすることもあります。
子どもの結婚相手のご家族との会食などでも、同じような場面があるかもしれません。お相手がマナーを重視するご家族なら、こちらの食べ方もチェックされています。自分だけならまだしも、子どもに恥をかかせる事態は避けたいものです。
お寿司は、手で食べるのか、お箸で食べるのか迷うことでしょう。
結論から言えば、その型はどちらでも構いません。しかし、会食シーンでは「相手に合わせる」というマナーの真髄がとても大切です。周囲の方が手で食べていれば手で、お箸で食べていればお箸でといった具合に、食べ方を使い分けましょう。