議員たちに当選という恩を売って信者にさせようとする

政治家たちは、一心不乱に活動する信者を見て、すばらしい団体と思うかもしれません。しかし、そう思わせられている事実に気づかなければなりません。議員たちに恩を与えて教団に取り込むことを目的にしているからです。

もしかすると、教団の組織票を得て当選した国会議員、地方議員のなかには、教団への感謝の念を抱いている人もいるかもしれません。しかし、その背後で犠牲になってきた人を見てほしいのです。

議員のもとで活動していた彼らは、そのときには神のため、教団のためと思い、必死に働きました。しかし、その多くの信者はやめています。自分たちが教団から正体を隠して伝道などで入信させられるなどして、心がマインドコントロールされて活動し、多額の献金などをさせられていたことに気づいたからです。

こうした人たちは、貴重な自分の時間を教団に奪われ、青春時代を棒に振ったような状況です。もちろん報酬もほとんどないなかで活動させられています。こうした元信者の犠牲のうえに票が積み重ねられ、当選できたのです。教団への感謝より、どうかこうした人たちの被害にも目を向けてほしいのです。

多田文明『信じる者は、ダマされる。』(清談社Publico)

これまで旧統一教会の勧誘の手口を見てきて、議員たちへのアプローチのしかたや、賛同会員、信者議員にするために統一思想を学ばせるステップは、ある程度はマニュアルになっているはずです。

実際に、教団関連の団体に当選後に誘われ、議員と秘書が1泊2日の研修を受け、旧統一教会の教えの講義を受けたという話も出てきています。まさに、議員たちに当選という恩を売って信者にさせようとする思惑も見えてきています。

これから先、日本の行く末を真剣に考える、たくさんの新しい政治家が生まれてくるでしょう。その人たちが、こうした教団の罠にハマらないためにも、しっかり議員自身が受けた経緯を赤裸々に知らせるべきだと思います。それこそが、次の政治家たちへの大きな橋渡しとなるのではないでしょうか。

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