なぜ車のナンバーにモザイクが必要なのか

Q YouTubeに投稿された動画の中には、人の顔だけでなく、写り込んだ車のナンバーにモザイク処理が施されたものが多いです。公聞する動画に車のナンバーが写り込んだ場合にも、肖像権の問題が生じるのでしょうか?

A 物には肖像権はないので、肖像権は問題になりません。ただ、車のナンバーに関しては、まず、プライバシー権の侵害が問題となります。プライバシー権とは、「私生活上の事柄をみだりに公開されない法的保障・権利」のことです。

プライバシー侵害が認められる必要な条件については、裁判で示されています。下記の3つと、「当該私人が実際に不快、不安の念を覚えたことを必要とする」を加えた4つが、プライバシー権の侵害を満たす要件とされています。

① 私生活上の事実または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのある事柄であること
② 一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立った場合公開を欲しないであろうと認められる事柄であること、換言すれば一般人の感覚を基準として公開されることによって心理的な負担、不安を覚えるであろうと認められる事柄であること
③ 一般の人々に未だ知られていない事柄であること
(東京地方裁判所1964年9月28日判決)

車の位置情報は所有者のプライバシーに関わる

Q どうして、車のナンバーを写すことがプライバシー権の侵害となるのでしょうか?

A 「あるナンバーの自動車が、ある時点で、どこをどのように走っていたか」という情報は、その自動車の所有者のプライバシーに関わる情報と考えられます。そのため、プライバシー権を侵害しないようモザイク処理が必要となります。

例えば、その時点では関西で勤務をしているはずの人の車が、伊豆をドライブしているのがわかったら、重大なトラブルとなるかもしれませんよね。