人がもっとも成長するタイミングは失敗の直後である

VIPと交流し、彼らの成功の秘密を研究する中で発見したことの1つに、彼らは「失敗の旬を意識している」というものがあります。魚介類や野菜には、食べ頃の時期の「旬」があります。たとえば冬の味覚と言われるカニ。旬の冬に食べると、ほかの時期とはまったく異なる別次元の美味しさを堪能することができます。

ほとんどの食材は、冷凍技術のおかげで一年を通して食べることができる時代ですが、旬は別もの。同じ食材とは思えないほどの美味しさを私たちに提供してくれます。この食べ物と同じ「旬」が、失敗にも存在するとVIPは考えているのです。

「失敗は成長の母」とは昔から言われているように、失敗の痛みを経験することで、それを回避するための新しい知恵を身につける習性を人は持っています。「その習性を最大化させることはできないか?」とVIPは考え、導き出した結論が、「人がもっとも成長するタイミングは失敗の直後である」ということです。

成長の機会は、目の前の失敗の直後に存在している

失敗した直後は、誰でも嫌な気持ちになり、なるべく早く忘れたいと思うものです。人によってはお酒に逃げる人もいるかもしれません。

後田良輔『ミスを最大のチャンスに変えるリカバリーの技術』(明日香出版社)

しかしVIPはそうした気持ちにぐっと耐え、あえて失敗の直後に、「なぜ失敗したのか?」「どうすれば良かったのか?」と深く考えていました。なぜなら失敗の直後以上に、危機意識を真剣に持ち、問題に向き合える時期は存在しないから。成長の機会とは、与えられるものではなく、自分で失敗の中から見いだすものです。

彼らは、成長に最適な旬に、今後のリカバリーに取り組まないのは損だと考えていたのです。「失敗の原因を素直に認識し、『これは非常にいい経験だった。尊い経験になった』というところまで心を開く人は、後日進歩し成長する人だ」と、松下幸之助は言っています。失敗にも旬があります。松下幸之助が言うように、失敗の原因を素直に検証しましょう。

それも失敗した直後の「旬」の時期に。それがあなたを成長させる最良の方法です。最適な成長の機会は、過去や未来にあるわけではなく、目の前の失敗の直後に存在しているのです。

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