「細部を熱く語る」というテクニックは仕事でも使える

この「全体を知らなくてもいい。細部を熱く語る」というテクニックは、私たちの仕事にも使えます。たとえば打ち合わせ、社内外の会議など、事前に勉強しておかなくてはいけないことは山ほどあります。でも現実的にすべてを把握するのは無理ですよね。

そんなとき、VIPたちは勉強不足を知ったかぶりで切り抜けるのではなく、相手が求めている根本のゴールを確認し、それに貢献できる「自分が語れる別の事例」を熱く語ることで、相手の悩みに貢献していました。

相手はあなたに勉強してほしいわけではありません。自分の悩みや課題を解決し、安心させてほしいと思っています。その観点で考えれば、自分の知っている情報でゴールに貢献できれば問題ないのです。大切なのはすべてを勉強することではなく、持っている知識で相手の課題に貢献することです。

GATE(Goal、Action、Technology、Emotion)の公式で整理すると、次のようになります。

ゴール
相手の課題に貢献する。
アクション
自分の得意分野で、相手の悩み解決に役立つ情報を伝える。
テクノロジー
そもそも相手が求めるゴールの根本を把握し、自分が詳しい分野の中でゴールに貢献できるたとえ話や事例を「別の事例の話になりますが」などと言いながら話す。たとえば、相手が50代で自分が20代、議題がコロナ後の動きであれば、経済の動きを勉強していなくても、自分の周囲から最近の若い人の動きなどを話すイメージです。
エモーション
得意分野を語ったとしても、その事柄についての勉強不足は事実です。「次までに○○についてもっと勉強しておきます」など、反省の姿勢を見せましょう。

賢くなるのではなく、「賢いんちゃうかな?」と思われればいい

アドリブで打ち合わせにのぞむと失敗しやすくなります。相手や周りの人に、「事前に読んでおくべき資料はありますか?」などと確認しておくことで、勉強不足での失敗を避けられる可能性もあります。

「僕たちは賢くなる必要はないんです。『賢いんちゃうかな?』って思われたらそれでいいんです」と島田紳助さんは言いました。ビジネスも同じです。大切なのは、相手があなたに価値を感じること。