冷食の「フレンチオニオンスープ」との違い

ところで近年、ロイヤルグループは冷凍ミール「ロイヤルデリ」にも力を注ぐ。

「ご家庭でもレストラン品質の味をお楽しみいただける」を掲げ、たとえば「コスモドリア」や「黒毛和牛と黒豚のハンバーグ 洋食ドミグラスソース」など、50種類以上のメニューで訴求。消費者は、店舗やECで購入した商品を電子レンジや湯煎などで温めて食べる。

コロナ禍で在宅時間増の流れにも乗って成長しており、ロイヤルデリからは「フレンチオニオンスープ」という商品もある。“ロイホのオニグラ”とはどう違うのか?

「姉妹商品のような存在です。フレンチオニオンスープは冷凍のまま商品を開けずに、沸騰したお湯に入れて約5分間温めます。湯煎後、取り出した袋を軽く振り、全体をなじませた後、器に移し替えれば出来上がりです。

ロイヤルデリは出来上がりから逆算して商品設計を細かく行っており、料理の味の総責任者である西田光洋(商品本部・首席料理長)を中心に試行錯誤しながら仕上げたのです」

家庭で再現する場合、材料を切って炒め、煮込み続けるなど手間も時間もかかるスープを「時短」で再現できるのが魅力なのだ。ちなみにロイヤルデリはロイホ各店でも買えるが、「ロイヤルホストの冷凍食品ではなく、ロイヤルグループの冷凍食品」だという。

ロイホは「コックが腕をふるうレストラン」

ロイヤルホストの話に戻ろう。同ブランドの特徴として、これまで言われてきたのは「コックが腕をふるうレストラン」だった。競合との差別化の視点で、その真意を聞いてみた。

「社内でも『ロイヤルホストはどうあるべきか』の議論の中で、コックの存在が出てきました。では、『そもそもコックとは何だろう?』の視点で議論を深め、現在こう考えています」

(1)素材の味を組み合わせて商品設計をする人
(2)セントラルキッチンで、均質化・安定化の視点で製造する人
(3)各店舗の現場で、味を再現する人

(1)は商品開発、(2)は安定生産、(3)は店舗での提供、に携わる人だという。

さらに「これまで“店でひと手間”を掲げてきましたが、改めて考えると各店舗で行うのは“出来立て”――。オニオングラタンスープもそうですが、プロの調理人が行う出来立ての味こそが、ロイヤルホストの特徴です」と、生田氏は説明する。