ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」が好調だ。今年上半期は、売上高、来客数、客単価すべてで昨年を上回った。そんな中で人気商品「オニオングラタンスープ」が、コロナ禍を経て、注文数がさらに増えているという。以前からある定番メニューがなぜ、今人気なのか。経済ジャーナリストの高井尚之さんがリポートする――。

売上、来客、客単価で昨年を上回っているロイヤルホスト

一時は目立った「コロナ禍で飲食店の経営が厳しい」という報道も、最近はブランドによって明暗が分かれている。

たとえば、北は北海道から南は沖縄県まで、全国で221店(2022年9月末現在)を展開するファミリーレストラン「ロイヤルホスト」の場合、2022年の既存店売り上げ実績は、ずっと好調だ。

今年1月~6月の上半期は「売上高121.7%・来客数119.0%・客単価102.3%」(いずれも既存店前年比)で、最新9月の実績(確定値)も同「売上高134.8%・来客数131.8%・客単価102.3%」となっている。コロナ禍ゆえ、数字は前年同月の外出自粛状況にも左右されるが、すべての項目で前年を上回っているのが興味深い。

愛用者からは“ロイホ”と呼ばれて親しまれる同店で、販売数1位を誇るのが「オニオングラタンスープ」だ。本来ならサイドメニューである商品の人気が、なぜ高いのか。

ブランドの最高責任者に取材しながら考えてみた。

オニグラは注文後、約6分で提供される

「2022年のオニオングラタンスープの注文数は、コロナ前の2019年比で155%(1店舗あたり1日平均)、2021年比で131%と好調です(2022年は1~9月出品数、2019年と2021年は1~12月出品数)。セットメニューで注文される際、他のスープでなく、こちらを選ばれるケースも目立ちます」

ロイヤルホストのオニオングラタンスープ
画像提供=ロイヤルHD
ロイヤルホストのオニオングラタンスープ

「ロイヤルホスト」や「天丼てんや」を運営するロイヤルフードサービスの生田直己社長はこう話す。生田氏は現在、親会社のロイヤルホールディングス(HD)執行役員で外食事業担当。ロイヤルグループ外食事業全般の責任も担う。

「オニオングラタンスープは発売以来、基本、製法は変えていません。原材料のタマネギを淡路島産から北海道産に変えるなど、農作物ゆえ産地を調整したりしましたが、製法は変えていない。店での提供も、お客さまの利便性を考えて器を小さくした程度で、同じようなやり方です」

過去には複数の店の店長を務め、現場責任者時代は「ロイヤルホストの大阪での存在感を高めた存在」だと聞く。社内では“オニグラ”と呼ぶ、同商品への思い入れも深いようだ。

「レストランですから、ファストフードのような『商品によっては1分以内に提供』ともいわれるクイック提供はしませんが、お客さまがご注文されて、初めの1品は15分以内に提供するのが社内ルール。特に最初に召し上がられることが多いオニオングラタンスープは、約6分で提供するよう心がけています」