(1)から(3)に行くまでが一番時間がかかるので、多くの受験生が(3)の状態(数秒で意味を思い出せる)で「覚えた」と思ってここでやめてしまいます。ここでやめるからすぐに忘れることになります。それで「何回やってもすぐ忘れちゃう。やっぱ単語は苦手……」と思ってしまうわけです。

(3)の状態まで行けば、実はあと一押しです。(4)の状態(0.1秒で思い出せる状態)まで繰り返せば、英単語は脳に染み込みます。必ずここまでやりこむ必要があります。しかも「0.1秒で思い出せる」その瞬発力は、後々「長文を速く読める」力にもつながります。1つの単語の意味を思い出すのに数秒かかっていたら、長い英文を速く読むのは不可能です。

単語暗記のコツは「全部を暗記しない」

単語は「意味が1つわかる」という目標1つに絞る必要があります。

「たくさんの意味を覚えたほうがいい」「スペルも書けたほうがいい」「派生語も覚えたほうがいい」のは確かです。ただここまでやろうとするとキリがありません。

まずは「意味だけわかる」単語を増やすべきです。受験生が一番悩むのが「意味がわからない」単語です。「意外な意味」「スペルに注意する」単語は限られているので、そういう問題にぶつかったときに覚えるほうが、圧倒的に効率がいいです。

最初は、1つの英単語につき1つだけ意味を覚えるべきです。

困ったことに、ここ最近単語帳が「辞書化」してしまっています。

本来、単語帳というのは、「入試に出る単語」を「出る意味に絞って」載せたハンドブックでした。昔の単語帳はスッキリと情報が絞り込まれていました。

ところが、最近の単語帳は細かい情報を詰め込みすぎです。教師の立場からはありがたいですが、生徒からしたら、たまったものではありません。たくさんの意味・スペル・派生語・類義語・長い例文……。欲張って1つの単語のいろんな情報を覚えようとすると、結局頭に何も残らなくなります。

「試験に出る順ランキング」を気にしてはいけない

市販の単語帳では「出る順ランキング」がよく使われていますね。でもこのランキングは気にしないほうがいいです。ランキングは、全国の大学の平均値になっています。上は東大から、下は偏差値40の大学までの平均値です。

この記事を読んでいる方のお子さんには、難関大学を目指す方もいるかと思います。そういう大学を狙うなら、ランキングにとらわれてはダメです。言い換えれば「頻度1位も、頻度1500位も同じようにマスターする必要がある」のです。