子育て支援を充実させれば解決する問題ではない
問題の本質は、少子化ではなく、母親の数が減っていることによる「少母化」なのです。それは、婚外子の極端に少ない日本ではイコール婚姻数の減少なのですが、婚姻減の割合より出生減の割合のほうが少なく、むしろ結婚した女性たちは子どもをたくさん産んでいます。が、どれだけ結婚した女性が産んだとしても絶対人口が減っている以上、解決できる問題ではないということです。
政府や自治体の少子化対策においては、長年「子育て支援の充実」がメインとして論じられてきました。もちろん、「子育て支援」そのものを否定するものではないですが、「子育て支援を充実させれば少子化は解決する」という論理は的外れであることは今までの数字を見ればお分かりいただけると思います。そもそも子育て支援は少子化があろうとなかろうとやるべきものでもあります。
結婚も子どもも望まない若い女性が増えている現実
2021年の出生動向基本調査では、未婚女性の希望子ども数が1.79人となって、統計以来過去最低であると同時に男性よりも低くなってしまいました(図表3)。ますます未婚化と少子化に拍車がかかる勢いです。結婚も子どもも希望しない女性が増えてしまった若者の環境というものをいま一度見つめ直すべきではないでしょうか。
日本の人口減少は不可避な現実で、何か政策をしたところで変えられるものではないということを私は繰り返し述べてきていますが、別にそれは「もう絶望の未来なんだからどうでもいいや」という諦観の話ではなく、確実にやってくる人口減少の未来が分かっているのだから、今のうちにそうした構造変化に適応した社会システムなりを準備しておくべきだという考えからです。
しかし、「人口減少不可避」というと、必ず「人口減少を放置した場合のデメリットやリスクも考えず、無責任なことを言うな」とか「今できる努力をやりもしないで悲観的な未来を煽るような言説は害悪だ」などと批判する人もいます。