マイナスの状態ばかりが続くわけではない
すると、たとえ社会的な成功を収めても、心に虚しさが残り続けます。「文化的催眠」と「同調圧力」に負けて振りまわされている状態です。さらに、その嫌な気分を打ち消そうとしてより社会的な成功を目指してしまうため、いつまでも幸福になれない負のループにはまってしまいます。
もちろん、人生を生きるなかでは、誰しも自分を肯定できないときもあると思います。どれだけタフな人でも心の状態が下がり気味のときはあり、これら3つのパターンに陥ることはあります。
ただ、そんなマイナスな状態のときでも、心に「あいまいさ」があれば、周囲に振りまわされることを減らせます。心や感情はそもそも揺れ動く「あいまい」なものだと知っているので、いま自分がマイナスの状態であることを客観視でき、その状態もいずれ変わっていくことがわかるからです。
まさに、前稿で述べた、「森を見てから木を見る」ことができるため、一時的にネガティブになって少々振りまわされたとしても、すぐに自力で元に戻れるでしょう。
うっそうとした森のなかで延々と迷わずに、ほどなくして自分を取り戻すことができるはずです。
他人に振り回されないための2つのコツ
では、他人や周囲のことが気にならないようにするには、具体的にどうすればいいのか。
わたしの臨床経験をもとに、周囲に振りまわされることが多い人の特徴をたどっていくと、振りまわされないコツを見出すことができます。
周囲に振りまわされないコツ1
「Be(なんのため)」「Have(~をもちいて)」「Do(~しよう)」を決める
まず、自分が「なんのため」に、「~をもちいて」、「どのように行動していくか」を決めることです。他人が決めた目標や評価ではなく、あくまで「自分のための目的」を持つと心に決めましょう。
人生の目的といったような、大きなものに限りません。日常生活のなかの、ちょっとした判断や決断の一つひとつに、ぜひ「なんのため?」と丁寧に問いかけてみてください。
そして、いったん目的を定めたら、それを実行するための手段を考えましょう。なるべく具体的な行動に落とし込むことがポイントです。
この「Be・Have・Do」を意識し続けていると、やがて自分だけのスタイルがおぼろげに見えてきます。自分の個性、特質、強みといったものが少しずつわかってくるでしょう。