もう少し掘り下げると、直球で正論をぶつけられることは、話し手にとっては意外と息苦しいものです。不倫はよくない、なんてことは、当事者もきっとわかっています。

「そんなことはわかっている。でも自分にはそれなりの事情がある」と考えているのかもしれません。

人が大切なことを話すとき、本当にしてほしいのは受容と共感です。相手があなたにジャッジを求めたり、間違いを正してほしいと思っていることはほぼありません。

これは聞く技術というより考え方になりますが、ものごとに唯一絶対の正解などないと思ったほうが、話し手も聞き手も気がらくです。相手が間違っているのではなく、自分とは違う。これが、上手な聞き手の受け止め方です。

人は正論を求めているわけではない

世の中にはいろいろな人がいます。あなたがタブーだと思っていることをまったく気にせずに生きている人もいます。あなたが正しいと思っている生き方とは、真逆の生き方をしている人もいます。

山根洋士『なぜ、あの人には何でも話してしまうのか 心理カウンセラーのスゴイ「聞く技術」』(アスコム)

ふだん会話している人のことは何となくわかっているつもりですが、話しているときに、「この人は意外とドライな人だったんだ」「細かいことを気にする人だったんだ」「社交的に振る舞っているのは会社だけなんだ」と、相手の一面に気づかされることもあります。

本来、そう簡単にジャッジなどできないのではないでしょうか。聞き手がやるべきことは、まず相手の話を聞くこと。そして、相手を認めることです。

自分の倫理観や常識、価値観を横に置くのが苦手なのが、真面目な人です。これが正しいことだと信じて生きている人ほど、敏感に反応してしまうところがあります。

上手な聞き手になりたいなら気をつけたほうがいいでしょう。もちろん、その価値観は聞き手として邪魔なだけ。あなた個人にとって、大切なものは大切でいいのです。

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