「今日は部下の話をよく聞いたなあ」と思っていたとしても、客観的に見ると、上司のほうが話している時間が多いのはよくあることです。これでは、聞き手としては失格。部下の話をうまく聞けるはずがありません。

タテの関係性であったとしても、会話においては対等です。上手な聞き手になりたいなら、少しくらい下だと思っているくらいがちょうどいいでしょう。

「教えてください」と「教えてくれてありがとう」。へりくだることはありませんが、この2つを意識していると、相手は安心して話すことができます。会話の主役は、あくまでも話し手。このことを忘れないようにしましょう。

白黒つけてはいけない

ネットニュースやテレビのワイドショーを見ていると、著名人の不倫や、迷惑系ユーチューバーの騒動を知ることがあります。自分には関係ないのでどうでもいい、という人もいれば、許せない! と怒りを覚える人もいるようです。

SNSやネットニュースのコメント欄には、「謝罪すべきだ」「活動自粛してほしい」といった怒りの投稿が溢れます。一般論として、多くの人が間違っていると思うことには、つい、ひとこと言いたくなってしまうのが人情です。

しかしこれが、人との信頼関係を築く会話では、聞き手の邪魔になってしまいます。心理カウンセラーは、相談者のどんな話もジャッジしません。

相手の話している内容について、自分の倫理観や常識、価値観などで、正しいとか、間違っていると判断しないということです。一般常識と照らし合わせておかしいなと思うことでも、そのまま受け入れます。

カウンセラーは、自分の倫理観や常識、価値観などを横に置くか、棚に上げて相談者の話を聞いています。そうしないと、相手の話を素直に聞けなくなるし、口を挟みたくなるからです。

例えば、不倫の相談をされたとします。一般論でいえば、不倫はよくないと考えるかもしれません。しかも、それが知人の話となると、我がことのように真剣に考えるでしょう。

「そうなんだ。でもね、不倫は相手も自分も、相手の家族も不幸になるよ」

結婚指輪をつける男
写真=iStock.com/Suebsiri
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相手のためを思えばこそ、真剣に釘を刺すこともあるはずです。それ自体はコミュニケーションのとり方の1つです。しかし、何でも話してもらうために、会話の心理的安全性を高めるのであれば、ジャッジは不要です。

「不倫している」と打ち明けられたら…

話し手にとってみれば、ジャッジを下されてしまうと、それ以上のことを話すハードルがグッと高くなってしまいます。どんな事情があって、どんな想いを抱えているのか、話してくれなくなってしまいます。

受容・共感の段階では、「そうなんだ」のあとの「でもね」が出そうになったら我慢しましょう。「どう思う?」と聞かれたら答えればいいだけです。