「速いマシンを操るドライバーが最速」はF1の一部でしかない

そう、最先端のマシンを駆るドライバーが最速である、との言説は、F1というスポーツの一部分しかとらえていない。その勝敗を決するのは、稲盛氏がいうドライバ―やチームの掛け算ができているか、さらにはそこでの戦略やメンバーのモチベーションなどすべてを統合し、強いリーダーシップをもって組織を前に進めていけるのか、という人間力なのである。

ぼくはホンダで長きにわたってマネージャーを務め、コミュニケ―ション力や人間力の重要性をことあるごとに痛感してきたが、F1という特異な世界においても、その大切さはいささかも変わらないものだった。そうした部分に着眼してレースを観てみると、それまでとはまったく違った風景が目に入ってくることだろう。

山本雅史『勝利の流れをつかむ思考法』(KADOKAWA)

その後、ホンダは2021年シーズンでF1から撤退したものの、現在はモータースポーツを専門にした組織・HRC(株式会社ホンダ・レーシング)がレッドブルチームを引き続きバックアップしている。ぼくも40年間勤めたホンダを退社したのち、「MASAコンサルティング・コミュニケーションズ」を立ち上げてレッドブルの子会社であるレッドブル・パワートレインズとコンサルティング契約を締結し、引き続きF1の世界に深くコミットメントしている。

そして、2022年シーズンのレッドブルは昨年以上の圧倒的な速さと強さを見せ、フェルスタッペン選手のドライバーズチャンピオンシップ2連覇と、コンストラクターズチャンピオンシップのWタイトルはもう、そこまで迫っている。そしてコロナ渦のなかで2年にわたって中止になった日本GPが、3年振りにいよいよ三重県の鈴鹿サーキットに帰ってくる。10月9日に行われる決勝で、願わくば昨年同様、歓喜の瞬間が訪れることをぼくは心から期待している。

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