※本稿は、山本雅史『勝利の流れをつかむ思考法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
3年ぶりに開催されたF1日本グランプリ
10月9日に鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で開催されたF1世界選手権第18戦日本GP。このレースで、レッドブルレーシングのマックス・フェルスタッペン選手が2年連続のワールドチャンピオンに輝いた。
アイルトン・セナ選手が活躍した「第2期ホンダF1」時代には、シーズン終盤に行なわれる日本GPで、チャンピオンが決定する瞬間を何度も目にする機会があった。しかし年間22戦を戦い、一度のレースで最大26ポイント(スプリントレースが行なわれるレースでは最大34ポイント)を獲得できる現在では、最終戦までチャンピオンの行方がわからないことが多い。
昨年、レッドブル・ホンダのフェルスタッペン選手とメルセデスのルイス・ハミルトン選手が同じ369.5ポイントで最終戦を迎え、最後の最後まで熱い戦いを見せてくれたのをご記憶の方は多いだろう。残り4戦を残してチャンピオンを獲得できたことは、今シーズンを圧倒的な速さで勝ち抜いてきた証左ともいえる。
モータースポーツの世界で勝敗を分けるもの
マシン設計のレギュレーションが大きく変更されたこの2022年シーズンは、通常であれば盤石の開発体制で速さを見せつけるメルセデスがまさかの遅れを取り、一方でフェラーリがかつての速さを取り戻した。
スピードだけでいえば、フェラーリはレッドブルとほぼ互角だった。序盤はフェラーリが優勢だったが、結果的にはレッドブルのほうが圧倒的なポイントを積み重ね、フェラーリを突き放した。なぜか。それはずばり、チーム力の差だ。どのような仕事でも、いかなる勝負ごとでも、最終的にその成果を左右するのは“人”の力であり、チームリーダーが生み出すチームとしての総合力であり、F1という技術が勝負の大部分を支配するようなスポーツでも、それは同様なのである。