「弱者男性」とは誰のことか
それでは、「弱者男性」とは、具体的にどのような男性のことなのか。
たとえば、実業家・ライターのトイアンナは、こう述べている。
(トイアンナ「日本の被差別階級『弱者男性』の知られざる衝撃実態……男同士でケアすればいいのか」)
また、ライターの鎌田和歌はこう述べる。
(鎌田和歌「女性の雇用制限が少子化対策になる? 炎上ツイートから見る『弱者男性論』」)
「キモくて金のないおっさん(KKO)」
ここで言われる弱者性にはいくつかの基準があり、それらが複雑に絡まり合っているようだ。たとえば、
・仕事の収入のこと、あるいは労働の非正規雇用のこと
・「キモい」と言われるような容姿の美醜の問題
・「コミュ障」と自嘲されるコミュニケーション能力の問題
・それ自体が多様なグラデーションをふくむ発達障害やメンタルの病などの問題
・現実に恋人や結婚相手などのパートナーがいるかどうか、という点
……などである。
引用の中にもある「キモくて金のないおっさん(KKO)」という有名な自嘲、あるいは「からかい」の表現に象徴されるように、上記のいくつかの要素が組み合わさって成り立つ連立方程式的な「弱者性」もあるだろう。というか、むしろそのような複雑な絡まり合いの中で醸成されていく「弱者性」のほうが現実的には多いのかもしれない。