相変わらず「ゲレンデ」が強し

SUVがセダンから「主役」の座を奪って久しい。外苑西通りでは発売されたばかりのフェラーリやランボルギーニは普通にすれ違うが、高級外車SUVのメルセデスベンツGクラスのゲレンデに関しては、もう見飽きるほど走っている。

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芸能人御用達でもあるこの車はグレードやオプションなどを積み上げれば2000万円以上かかる。リセールバリューの高さもあって人気に拍車がかかり、正規ディーラーでは品薄状態が続いている。特にディーゼル車などは新規受注を停止中だという。一部では、中古車価格が新車価格を上回るほど人気化しているのだ。

品薄状態の背景には、コロナ禍やウクライナ危機による世界的なエネルギー危機や金利上昇、記録的なインフレにより、原材料費の高騰や人出不足を主因とするサプライチェーンの滞りがある。特にいま一番の問題は、人手不足とされる。なんとか半導体など部品が供給され生産されても、工場から港まで完成した新車を運ぶトラック運転手がいない、船に積み荷する荷役がいないのだ。

品薄状態なのに、ゲレンデを見かけるカラクリとは

にもかかわらず、外苑西通りでは、1年前と比べてもゲレンデの新車を見かける機会が増えているように感じるのは、なぜか。

富裕層や関係者への聞き取りで今回わかったのは、いわゆる「隠し在庫」の存在だ。確かに、ゲレンデの多くのグレードは品薄状態が続いているが、正規ディーラーには「別ルート」があり、VIPユーザーや、複数台保有するような既存ユーザーには、優先的に新車が割り当てられているというのだ。

つまり、百貨店の外商セールスと同じような仕組みだ。一見客は順番待ちさせられるが、この界隈の富裕層は別枠で特別に対応してもらえる。メルセデスに限らず、ポルシェなど他の高級外車メーカーも同様の対応をしており、結果的に、こうしたVIPユーザーや富裕層が多い外苑西通りでは、供給不足にもかかわらず、ゲレンデをはじめ高級外車の新車をみかける機会が変わらず多いというわけだ。