撮影=米倉昭仁
大宮北高校での学校説明会

私服を敬遠する理由はさまざまだ。他の生徒と違う服を着ることの抵抗感、毎朝服選びをすることの面倒くささ、逆に同じ服を着ていけば裕福でない家庭の事情が透けて見えてしまう、など。

「アンケートをとると、ほとんどの人が私服化を望んでいないことがわかりました。今回の制服改定のコンセプトに照らして考えると、私服にこだわる必要性は感じませんでした。なので、私服化の検討はやめました」

話題の一方で苦情も増加

筒井さんが既製品の服を制服にできないかと調べ始めたのは21年春のこと。すると、三重県鳥羽市立の中学校がユニクロの商品を準制服として採用していることがわかった。大宮北高校がユニクロ制服の導入を検討していることを校外に公表したのは、ちょうど1年前の学校説明会だった。

「最寄りのユニクロ店舗からマネキンを借りて、それに制服に採用しようと考えていたジャケットやスラックス、スカートを着せて体育館に集まった中学3年生や保護者に見せたんです。受験校を絞り込む前に知らせることは義務だな、と思いました」

その場でユニクロ制服についてアンケートをとると、結果は好評だった。

「『かっこいい、かわいいと思う』はあまりありませんでしたが、『いいと思う』が圧倒的でした」

ところが、この動きを全国紙が伝えると、否定的なコメントがSNSにあふれた。

<ユニクロ製品を学校制服に検討しているとは何事だ!>
<日本の繊維産業を守れ!>

などと、次々に苦情が寄せられた。

「みんなから怒られて散々でしたが、今春、新入生がユニクロ制服を着て登校するようになると、マスコミが好意的に取り上げてくれるようになったんです。否定的なコメントも劇的に減りました」

スラックスが好評の理由

公開授業の後、当事者である1年生を集めて、ユニクロ制服について、ざっくばらんに語ってもらった。

男子生徒が「学園祭の準備で汚してしまったんですけど、安価だから買い直しやすい」と言うと、「学校帰りにユニクロの店舗に立ち寄って買えるのでチョー楽。安いし」と、女子生徒が続ける。

多くの1年生が着ているポロシャツは1990円。保護者にとってもありがたい安さだ。

服選びはどうしているのか?