えっ、私服OKなんですか?と筆者が思わず口にすると、筒井さんはこう切り返す。
「いえ、これが新しい制服なんです。ユニクロの『ドライカノコポロシャツ』というアイテムであれば11の販売色、どの色を着てもかまいません。ふつうのシャツについても、白、青、グレーであればどこの製品でもOKです。ユニクロ以外にもいろいろありますから。なので、パッと見、生徒たちは自由な服装をしているように思われるかもしれませんね」
スラックスやスカート、セーターの色も選べる。体形に合うサイズがなければ、学校と相談のうえ、旧制服か、別のアイテムを着用できるという。
入学時、男子は旧制服の学ランを着る生徒が2、3割いたが、「夏休み前には見かけなくなりました」と筒井さんは言い、こう続ける。
「本日の公開授業を中学3年生と保護者が見学して、これだけ多くの生徒がユニクロ制服を着ている、どんな色の服でも悪目立ちすることもないし、生徒も先生もそれを許容している学校なんだ、と感じていただけると思います。導入時のコンセプト『生徒も考える、安価でシンプル、スマートな機能的標準服、ジェンダーレスも重要な要素』がかたちになって表れてきていると思います」
ここまで自由な服装が許されるのであれば、もはや制服は必要なく、私服でいいのではないか?
ところが、「私服ではダメなんです」と、筒井さんはきっぱりと言った。
決められたなかでアレンジ
かつて、制服は学校への帰属意識を高める管理教育の象徴だった。しかし、1980年代以降「ダサい」制服は、「かわいい」「かっこいい」制服にモデルチェンジが進み、生徒側の「管理される」という意識は希薄になった。しかし、意外にも「生徒も保護者も私服を望んでいるわけではない。というか、私服化にはすごく抵抗があります」と、筒井さんは言う。
「先ほど話した横並び意識と重なりますが、ある程度決められた範囲内で自分のアレンジをちょっと出すくらいが今っぽいのかもしれません」