カメラの前で思わずブチ切れたチャールズ
女王崩御直後から、チャールズはとにかく多忙を極めた。
スコットランドで臨終に立ち会い、ロンドンの評議会で即位宣言をした後、再びスコットランドのエディンバラに移動。さらには北アイルランドへ赴き、ロンドンで冒頭の葬列を見届けた後にウェールズを訪れるなど、短期間で連合王国4つを回った。女王の追悼を行い、弔問に訪れた大勢の一般市民と言葉をかわし握手もし続けた。それもありえないほどの近い距離の中で。
73歳の新国王は、よほど疲労していたのか、北アイルランド・ヒルズバラ城での記帳時、ペンのインクが漏れて手が汚れ、カメラの前で「うんざりだ!」と叫んでしまう。しかも、それはまたたく間に世界に拡散されてしまった。このイラっとシーンは2度もあったので、SNS上では「短気な男」というレッテルをはられる。生前の女王は、いかなるシーンでもそのような行動を見せなかったというのに。その一方でカミラは、キレる夫に冷静に対処していた。
足指の骨折をこらえて同行するも、休養は夫婦別々に
イギリス高級紙の「デイリー・テレグラフ」によると、カミラは女王崩御の前につま先の足指を骨折し、激痛をこらえながら夫に随伴していたそうだ。女王の棺が公開安置のためにウエストミンスターホールに運び込まれたとき、彼女は驚くことに中ヒールを履き、直立不動だった。なんと気丈なことか。かつてチャールズと不倫をして国中から嫌われていた“性悪女”は、今や賢夫人との評価が高い。
「ウェールズに行く前に、国王夫妻に休みがあり、チャールズ国王はグロスターシャーのハイグローブ邸で、一方、カミラ王妃はウィルトシャーのレイミルハウスで、と別々に過ごしたそうです。この2つの家は車で数十分ほどの距離で、彼女はストレスがたまると、レイミルで乗馬を楽しむなどしているほど大好きな別宅です。今回は骨折したこともあり、夫とは離れてゆっくり休養したかったのでしょう。気難しい夫との付き合い方もよく心得ています」
そう語るのは塩田まみさん。英国在住30年、イギリス公認ガイド、シティー特別区ガイド、ウエストミンスター宮殿のガイドを務める。
チャールズとカミラが初めて出会ってから50年以上経つ。とても相性が良いカップルだったにもかかわらず、若かりし頃はいろんな事情や障害があって結婚ができなかった。しかし不倫スキャンダル、ダイアナ元妃の死による壮絶な世間のバッシングも2人で乗り越えた。ただし、国王夫妻の未来への道のりは必ずしも明るいとは言えない。