元オリンピアンのアンには軍服が似合っている

アンは王室の中では長らく目立たない存在だった。少女時代は笑顔を振りまくタイプでなかったので、メディアからは“無愛想な王女”とも言われた。

しかし、兄とは違って活発で男性っぽいキャラクターの持ち主で、次第にアクティブな行動を披露して世間を騒がせる。カミラのかつての夫アンドリュー・パーカー・ボウルズと一時期交際しており、チャールズ、カミラ、アンドリュー、アンという“四角関係”の一人になるなど、なかなかの発展家だった。

そんなアンには“武勇伝”もある。1974年にはアンを狙った誘拐未遂事件が起きたが、現場で犯人と対峙して冷静に対処し、事なきを得たのだ。

アンは馬術のイギリス代表として1976年のモントリオールオリンピックの出場経験があるほどスポーツ万能。その後、自分と同じように馬術のオリンピアンであったマーク・フィリップスと結婚するも、破局。結婚当時から不倫をしていたティモシー・ローレンスと再婚した。女王が首長を務めていたイングランド国教会では、当時、離婚経験者が元配偶者の存命中に再婚することをタブーとしていたため、当然世間から大バッシングを受けた。しかし再婚に寛容なスコットランドの教会で式を挙げて、自分の意志を通した。

その後のアンは“お騒がせ”ロイヤルの悪名を返上とばかり(その意図はないかもしれないが)、中年期以降は落ち着いて公務に邁進している。同じ洋服を何度も着回すなど質素倹約に励んでいるのも好感が持てる。

今回の一連の追悼儀式で、女性の王族としては初めて君主の棺を守る一員として、軍服を着て兄弟とともに葬列を行進した。アンは1974年に王立婦人海軍の最高司令官に就任するなど、英国軍とゆかりが深い。故女王は第二次世界大戦では英国女子国防軍に入隊して後方支援をしていたし、フィリップ王配もバリバリの海軍軍人。兄弟皆軍人経験があるので、女性といえども軍務のキャリアは自然だったのだろう。足長のスレンダーな体型なので軍服がよく似合い、背筋をピシッと伸ばして行進する姿は、かなり勇ましいものがあった。

教会
写真=iStock.com/Paphada Tulyaanukij
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新国王が頼りにするのは、妻カミラと仲良しの妹

アンは女王の一人娘として母のよき話し相手であったし、チャールズと一緒に母の臨終の場所に駆けつけた。幼少時は多忙な女王の不在に泣いたこともあったらしいが、年の近い兄と寂しさを分かち合ったことで、今も2人は仲がいい。チャールズの短気で面倒くさい性格も理解し許容している。前にも増して新国王は妹を頼りにするだろう。

亡き女王に次いで絶大な人気を誇っているのは、ウィリアム皇太子の妻キャサリンだ。これまでの行動にほとんど落ち度がないし、公務も完璧にこなしている。庶民的なファストファッションが好きでSNSの使い方もうまい。今回の国葬でも、夫と一緒に最前列に並び、子供のジョージ王子やシャーロット王女を伴って参列。次期国王夫妻、さらに次の継承者一家としての堂々たる存在感を放った。

しかしジョージ、シャーロット、ルイの3人の子供がまだ小さいため、公務はもちろん育児にも注力してほしいという声が世間には上がっているようだ。ウィリアムの弟のハリー&メーガン夫妻が王室を離脱し、アンドリューが引退同然の存在となると、チャールズの頼みの綱はやはりアンということになるだろうか。

アンは若い頃の無愛想な表情はほとんど影を潜め、近年は満面の笑みでメディアに登場することが多くなった。カミラも再婚前はボサボサ髪のごつい“男顔”だったが、最近は白髪がツヤツヤのプラチナヘアーになって顔を彩り、美女風オーラを醸し出している。彼女らは、顔のシワさえも人間性の深みと自信の表れのように見える。

カミラとアン、この2人の体育会系ロイヤルが、今後の王室人気の鍵を握りそうだ。

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