母親の胎内にいるときから、将来的な学歴が予測できる

生まれた時、いや母親の胎内にいる時に、遺伝子検査を行うことで、将来的な学歴についてもある程度わかるようになってきている――。

安藤寿康『生まれが9割の世界をどう生きるか 遺伝と環境による不平等な現実を生き抜く処方箋』(SB新書)

もちろん環境の影響も50パーセントはあり、関連のあるSNPや遺伝子がすべてわかっても、双生児研究で見出された遺伝率50パーセントを超えるわけではないのですから、遺伝子検査だけで子どもの将来が確実にわかるわけではありません。それでもその人の大学進学の潜在能力のセットポイントは具体的に数値化され、難関大学に行ける可能性が高いか低いかについては、一昔前の天気予報程度、いまの地震の予測確率以上には当たるようになってくるでしょう。

最近は遺伝子検査ビジネスが盛んになってきています。現在のところ、病気のリスクについて説明するものが中心ですが、実は説明力が最も大きいのは病気のリスクよりもこの学歴、あるいはそこから示唆される知能なのです。

あらゆる分野のスコアを算出することが可能

それは分析されたDNAサンプルの数が、特定の病気を持っている人の数より、学歴と収入や職業の情報を提供してくれた人の数の方が圧倒的に多いからにすぎません。理論的には学歴のみならず、知能をはじめ、パーソナリティ、スポーツ、芸術など、あらゆる分野についてポリジェニックスコアを算出することが可能です。

それを測定する方法と、その測定値といっしょにDNAサンプルを数多く(数百万人あるいはそれ以上)提供してもらえるシステムを作りさえすれば。しかし、あなたはそのようなシステムができることを望みますか?

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