1万人を超える人口減少

2020年の京都市の人口増減数は-8870人で、他都市と比べても突出しており、かなりの衝撃を受けた。ところが、2021年には前年の減少数を大幅に更新し、-1万1919人と1万人超えの減少を記録した。

少なくとも近年で1年間に1万人以上の人口が減った例をほかに知らない。しかも、過去10年間(2011年から2020年)147万人台で安定していた京都市の人口も、2022年2月には145万人を割り込み、人口の急降下という事態に陥っている。

これは、国立社会保障・人口問題研究所が発表している京都市の人口予測推移も大幅に下回る数字だ(「日本の地域別将来人口推計」平成30<2018>年推計)。

京都市の財政破綻のニュースに接し、さらに人口減少率ワースト1が夕張市だと聞けば、財政難が元凶のように映るかもしれない。だが問題はまったく別のところにある。

転出が転入を5000人上回る

具体的に京都市の人口減少の内訳をひもとくと、「なぜ市内から人がいなくなっているのか」という疑問に答えが出る。

人口増減は(出生者-死亡者数)の自然増減と、(転入者-転出者)の社会増減に分けられる。まず、2021年の京都市の社会増減は次の通りだ。

転入者 9万5214人(京都府内から7041人、府外から3万8645人)
転出者 9万9356人(府内へ7961人、府外へ4万1885人)
その他 -695人
社会減 -4837人

ここからわかるように、転出者が転入者を5000人近く上回っている。

ちなみに、「その他」は転出届を提出せずに母国に帰ってしまった外国人や、住所不定のホームレスが住民票を取得した場合などが該当する。