なぜ生命維持に必要なアミノ酸は20種類なのか
宇宙には“私たち”とは異なる生物が存在する、という発想がどうして出てきたのかというと、あながち根拠のない話ではないのです。
たとえば、“私たち”は20種類のアミノ酸を使ってタンパク質をつくっています。しかし、なぜこの20種類だけなのか、という疑問は昔からありました。というのは、自然界には何百種類ものアミノ酸があって、理屈からいえば、万単位のアミノ酸がありうるはずだからです。
たとえば、宇宙からくる炭素質コンドライトと呼ばれる有機物を含む隕石を見てみると、無数のアミノ酸が含まれていることがわかります。それなのに、なぜ、地球のすべての生物が20種類のアミノ酸だけを選んで使っているのか、そこにどれだけ合理的な理由があるのか、という課題はいまだに解決されていません。
過去にも、20種類ではなくて21種類ではだめなのか、19種類にしたらどうなるだろうか、あるいは10種類だけでやっていけるのかどうか、というような研究があります。実際に、20のアミノ酸のうちのひとつふたつを使うのをやめて19や18にしても、ある程度はうまくいく、という実験結果もあります。つまり、この20種類のアミノ酸は、唯一無二の正解というわけではないのです。
地球型生命以外も存在することは可能
たしかに、非常にうまく選ばれているのは事実です。いってみれば、アミノ酸という大きな集合の中で、とてもバランスよく選ばれているといえます。感覚的にいうと、世界中の各大陸からひとりずつ選抜しているようなところがあって、たしかにうまく選ばれてはいるのですが、かといって、ひとつやふたつ入れ替わったとしても、別にどうということはないはずです。
別の言い方をすれば、私たちが知っているこのタイプの生命体だけが、この世に存在できるというわけではないということです。
まったく異なるアミノ酸の選び方も十分にありうる。私たちとはまったく異なるアミノ酸を使って生命活動をするような生命体は存在できないかというと、そんなことはないのです。
仮に“私たち”のような生命体を地球型と呼ぶとすると、地球型生命ではなくても存在しうる、存在する可能性があるということです。それは少なくとも試験管の中では明らかに見えます。