女子生徒のスカートを盗撮して販売した中学2年生の男子生徒

最近は盗撮加害者の若年化も指摘されている。20年2月、奈良県生駒市の市立中学校で、複数の中学2年の男子生徒が校内でスマホや小型カメラを使い、女子生徒のスカートの中や着替え姿を盗撮したというニュースが世間の話題となった。

男子生徒は無料通信アプリLINE(ライン)で画像を共有し、画像提供代として300~500円のやりとりがあった可能性も指摘された。学校と同市教育委員会が聞き取り調査を実施し、少なくとも十数人が被害に遭ったとみられ、学校側の聞き取りに男子生徒は「興味本位だった」と事実を認めたという。LINEで画像共有すれば外部流出の危険性もあり、売買までしたとなれば「中学生のいたずら」では済まされない事態だ。

こうした問題に2~3年前から危機感を強め、福岡県北九州市で盗撮の「防犯ボランティア」を務めるのは2人の子どもを育てる山内千春さんだ。

「最近はお小遣い稼ぎの感覚で盗撮できる環境があり、中高生が加害者になる逆転現象も増えている。子どもへの盗撮も予想以上に横行している。小さなビジネスかもしれないけど、罪の意識が薄いからできている。子を持つ親としてやらんといけん」と立ち上がった。

週1~2回は地道なパトロール活動を展開し、盗聴や盗撮を請け負う調査会社が開発した専用機材を使って公衆トイレや商業施設に高性能小型カメラが隠されていないかどうか点検。企業や学校と協力して啓発活動やイベント研修も実施し、盗撮防止を呼びかけるトイレットペーパーやステッカーも製作して注意喚起する。

公衆トイレやコンビニなどが狙われやすい

見回りして気づかされるのは日常生活に「盗撮の危険性」が隠れているという実態だ。

「今、1000円台の安価で手に入る小型化したカメラの中に記録媒体があって、それを仕掛けておいて後から回収すれば簡単に盗撮できる。ペン型やUSB型、フック型の小型カメラもあり、ねじ穴の中にカメラが仕込まれることもある」と巧妙化する手口を解説。

「公衆トイレやコンビニ、カフェ、ファストフード店など女性とか子どもがよく使うところは狙われやすい。加害者側がこういうトイレにはカメラを仕掛けたくないとなれば、抑止につながる。盗撮の実態や現状を周知しないと予防もできない」と指摘した。

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全国展開を目指すボランティアの代表として活動する中で、加害者側と偶然知り合ってコンタクトを取ることもあったという。「彼らが盗撮を繰り返す原因は、負の成功体験。最初はストレス発散や性的衝動から見つかるかも、と恐れながら成功したことで常習化していく。

盗撮をビジネス化している人たちはもっと単純でお金のためにやっている感覚。結構、タイプは二分化するのかもしれない。一度やめられた人でも何かをきっかけにして、またやりかねないという恐怖がある」と負のスパイラルにはまる現状を分析した。