日米韓共同軍事訓練に否定的な韓国メディア

本稿では、三つ目の「韓国世論の存在」について説明します。これはキリがないので、本書を執筆している時点では最近となる6月あたりのことを紹介したいと思います。

6月11日の日米韓防衛相会談で、北朝鮮のミサイル関連の訓練を三カ国が再開すると合意しました。具体的にいつから始めるのかは分かりませんが、前は普通にやっていたので、準備できるまでそう長くはかからないでしょう。

ですが、この件で、韓国側のメディアは、「また日本が得をした」という記事を出しました。「米国側から、日米韓の共同軍事訓練を要請し、尹政権は(文政権もそうでしたが)反対している」というニュースが何度も報じられていたためか、一部の記事には「韓国は何も得られず、譲歩してしまった」という書き方も見受けられます。

他のメディアの記事によると、今回合意したのは日米韓による北朝鮮ミサイル探知・警報訓練で、具体的な再開時期も未定のままですが(韓国の国防部長官は「具体的に話があった」としていますが、詳しい日程や内容などは分かりません)、京仁(キョンイン)放送OBSは「迎撃訓練に合意した」としながら、「日本の正しい認識が前提条件だとしておいて、日本は何もしなかったのに韓国は応じてしまった」「日本が発表したミサイル情報は間違いが多く、また日本が得をすることになった」という趣旨で記事を載せています。

同じく、「南北対立のおかげで、また日本が得をしてしまった」という趣旨です。いや、得も何も……北朝鮮平和ムードを終わりにしたのは、韓国の大統領なんですが。

写真=iStock.com/Harvepino
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「朝鮮半島の緊張が高くなると、日本は笑顔になる」

北朝鮮に対して路線を変えると、米韓同盟のことをもっと優先していく、と尹大統領は候補だった頃からずっと言っていました。また、それで保守支持層から票を得て、大統領になれました。なのに、今さらなんで日本に怒っているのでしょうか。

CBS(ノーカットニュース)も、「南北の対立が嬉しい日本、アジアの指導者を夢見るか」という実に分かりやすい題の記事で、同じ趣旨の話を記事にしています。

〈……(※日本の防衛力増強のことをいろいろ書いた後)ロイターは去る8日、このような日本の防衛力強化の動きに対し、米国が長らく待ち望んでいたものだと評価した。慶南大学のキム・ドンヨプ教授はこのメディアのインタビューで、「北朝鮮の行動に対する韓国側対応(※尹政権の対北路線)など、朝鮮半島の緊張が高くなると、日本は笑顔にならずにはいられないだろう」と話した。

北朝鮮の核実験準備、韓米合同軍事訓練の再開などは、日本の『普通の国』化を正当なものにする、という説明だ。この媒体は韓日関係改善も、日本には「鬼に金棒」(cherry on top)と見た。日本がより強力な防衛政策で大衆の支持を得ているが、韓国との関係改善はおまけで付いてくるというのだ……(同日、ノーカットニュース)〉