弱さを認めたら、自分を責めなくなった

また、自分の居場所を見つけるために、「3分の1の退校予備軍の同期たちを励まそう」と考えました。この役割は学生生活が順調な人たちにはできません。これが私の役割だったのです。

そこから「この理不尽な学校をどうしたら楽しめるか?」を研究するようになりました。この発想は「自分はダメでどうしようもない」という視点がなかったら見つけられませんでした。私は自分の弱さを認めることによって、少なくとも『車輪の下』のラストのようにお酒に酔って、川に落ちてしまうことを防げたのです。

防大生活は毎日失敗しては怒鳴られ、時間もなく、ストレスフルです。そしてテレビも見られないので、基本的に娯楽がありません。

そこで私は「防大生活は喜劇だ」と考えました。「チャーリー・チャップリンの映画みたいなものだから、ミスしたら美味しい話ができたと思おう」とみんなに言ったのです。自分は喜劇の主人公だから、防大はあくまでもドタバタコントに過ぎないと思うようにしたのです。

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ルールを多少間違えたぐらいじゃ人は死なない

みんなで「貴重品のロッカーを閉め忘れていたら、激怒した上級生がやってきた。なまはげ祭りかと思った」「『渡る世間は鬼ばかり』よりひどい人間関係」などと茶化すようになりました。

すると怒られている時でも「これは美味しいネタになるかも……」と思えて、ネガティブなことを笑いに変えたり、視野を広げられるようになりました。笑いながら自分のミスを誰かに伝えると「実はオレも……」という話が出てくるので、同期との仲間意識も深まりました。

また、防大生活の数えきれないルールを完璧にこなすのは不可能なので、「覚えきれない自分を責めるのはやめよう」と自分に言い聞かせることにしました。細分化されたルールを多少間違えたぐらいじゃ人は死なないし、誰かに大きな迷惑がかかるわけじゃないからです。

結局のところ、防大は次のルールだけ守れば、多少はなんとかなることに気がつきました。