下手のナンピン、素寒貧

ナンピン買いとは、保有銘柄が値下がりしているときに、より低い価格で買い増していくことです。これによって平均購入単価が下がるので、「難(損失のこと)」を「平らに」するということで、「難平(ナンピン)」といわれます。

平均購入単価が下がれば、株価の回復時には、より早く含み損を解消することができます。ナンピン買いをしなければ、株価が回復しても、当初の買値まで戻らなければ含み損は解消しないわけですから、これはとても魅力的なことです。

しかし、ナンピン買いには注意が必要です。

なぜなら、ナンピン買いをしても(平均購入単価を下げても)、株価が回復しなければ意味がないからです。

実際、買い増しをしてもズルズル値下がりを続け、ますます含み損が広がり(平均購入単価が下がっても、含み損の金額自体は増えていく)、資金が枯渇してしまうケースも多く、「下手のナンピン、素寒貧すかんぴん」との投資格言もあるくらいです。

私も過去、ナンピン買いで「素寒貧」になっております。

優待銘柄のナンピンで約80万円の損失

ナンピン買いでの失敗は数多くありますが、中でも酷かったのは、「タスコシステム」と「ヴィア・ホールディングス」です。

タスコシステムは、かつて「北前そば高田屋」などを運営していた外食企業ですが、すでに破綻。

写真=iStock.com/kumikomini
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株主優待が素晴らしく魅力的で、値下がりを続ける株価にも、「これだけ株価が下がれば、皆、優待目当てで買うはずだ」との独り善がりの思い込みでナンピン買いを続けているうちに上場廃止、50万円近くの損失。もう10年以上も前のことですが、優待と株価しか見えていなかった、若気の至りの投資でした。

ヴィア・ホールディングスは、「備長扇屋」などを運営する外食企業でして、こちらは破綻していませんが、現在、株価は140~150円程度と低迷中。

数年前に、私はこの銘柄を800円台で買うも、そこからズルズル値下がりを続ける中、値ごろ感と、保有株数に応じてアップする優待を目的にナンピン買いを継続。その後、大幅な優待改悪(金券優待から割引優待に変更)があったので売りましたが、30万円程度の損失となりました。