株価がズルズル下がり続けるには理由がある

もっとも、これら失敗は結果論であって、状況によっては、奇跡の株価急騰によって、ナンピン買いで大成功していたかもしれません。

ただ、ズルズルと下がり続けるような銘柄が、急上昇に転ずる可能性は低いというのが私の実感です。

そのような銘柄は、業績低迷や財務状況逼迫ひっぱく、事業内容に構造的な問題を抱えているなど、ズルズル下がり続ける何らかの理由があるもので、それを値ごろ感だけで買い増すのは非常に危険なのです。実際、私はタスコやヴィア以外にもナンピン買いの経験は多数ありますが、事態は好転せず、そのままズルズルと傷口を広げただけで終わったケースがほとんどでした。

なので今回、値下がりを続ける雪国まいたけにナンピン買いの衝動には駆られるわけですが、そんな過去の失敗を教訓に、ナンピン買いは発動しておりません。

もちろん、ナンピン買いで大成功した人はいるでしょう。

我慢して買い増しを続ける中、株価が急上昇に転じ、含み損解消からの大もうけのサクセスストーリーも珍しくはありません。

ただ、事前にそのナンピン買いが成功するか否かを見極めるのは至難の業で(それができれば苦労しない)、ナンピン買いの成功・失敗は結果論と言ってもよいでしょう。もっとも私は、(前述のように個人的な経験から)失敗の可能性が高いと思っているので、ナンピン買いは基本的にはオススメしておりません。

あと、ナンピン買いを続ければ、「一銘柄に資金が集中」することから、確実にリスクは高まります。

ナンピン買いが“オススメ”できるケースとは?

値下がり時には、意地になってナンピン買いを続けることも多く、知らず知らずのうちに大きなリスクを抱えてしまう可能性は低くありません。投資において、想定外のリスクを抱えることはNGなので、そんな理由からも、個人的には、ナンピン買いは基本的にはオススメはしておりません。

とはいえ、ナンピン買いは絶対ダメというわけでなく、次のようなケースでは、ナンピン買いは大いに有効です。

それは、「その銘柄への投資額をしっかり決めた上で、高値つかみを避けるため(少しでも安く買うため)、何度かに分けて購入する」ときです。具体例を挙げるなら、「A株に100万円分投資したいが、一度に買うと高値つかみが怖いので、まずは10万円分だけ買って、値下がりしたら買い増していこう」と、最初から考えているようなケース。

つまり、リスクの上限(その銘柄への投資上限)をしっかり決めて、最初からナンピン買いをしっかり意識しているのであれば、むしろ、ナンピン買いはオススメしたいところです。かつては、ただ衝動に駆られてナンピン買いをしていた(そして素寒貧になっていた)私ですが、今では、ナンピン買いについては、そのようなスタンスを心掛けています。