旧統一教会は連帯感を提供しカネを奪う救済ビジネス
孤独ビジネスといえば、カルト教団など、人の「孤独感」につけこみ、所属意識や連帯感を提供することで、時間やカネを収奪する「孤独救済ビジネス」も存在する。まさに、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)などはこの典型だろう。彼らは、生きづらさや孤独感にさいなまれる人々に、人とつながる居場所を与え、取り込んでいく。
人の「孤独感」は人間の生死にかかわる根源的で激烈な感情だ。都市化、核家族化などにより、現代社会において、それに苦しむ人も爆増しているだけに、「推奨派」も「救済派」もカネになるというわけである。
「人は一人で強く生きていくもの」という「孤独推奨ビジネス」の論法は、翻ってみれば、「自分の身は自分で守れ」という自己責任論と通底する。実際に、孤独は自己責任と考える人の割合は、日本では44%に上り、アメリカの23%、イギリスの11%と比べ、圧倒的に高い(米カイザー財団調べ)。
お腹が空いた人に「飢えは体にいい」、金のない人に「金がなくても生きていける」と説くのにも似た孤独推奨ビジネスの論法では、孤独は自己責任であるから、他人に手を差し伸べる必要がない。自分は自分の身さえ守っていればいい。
つながりの大切さを説くよりも先に、人に頼ることは恥、つるむことは悪、仲間も友達もいらない、という主張はディストピア社会を助長することにはならないだろうか。