取引が行われるのは駅前や、コンビニの駐車場

これ以外に、〈今、渋谷のモアイ像です、30分以内に罰と野菜、押していただけるpさんいませんか〉〈六本木にいます。チャリのpさん押してください〉〈業販(卸販売)押してくれる野菜のpさんいませんか。毎週金曜日100g引けます〉といった投稿も。

「手押し」は略して「押し」とも呼ばれ、ツイッターをくまなくチェックしている密売人たちは、こうした書き込みを見つけては商売用の携帯電話の番号を伝えたり、テレグラムなどに誘導したりします。

その後、客と商談を進めながら“ブツ”の配達に出向くわけです。携帯電話で連絡する場合、密売人たちが使用しているのは商売用の「とばし携帯(他人名義)」であることは言うまでもありません。

瀬戸晴海『スマホで薬物を買う子どもたち』(新潮新書)

薬物の取引といえば、繁華街の路地裏に強面こわもての売人がやってきて、辺りを気にしながらコソコソと取引するイメージが強いと思います。

けれども実際には、どこにでもいる大学生のような若者が「どうも~」といった感じでやってきます。「はい、どうぞ。それとこれ、サービスね。じゃ、またお願いしま~す」。

一方、客の側も現金を渡しながら「サンキュー、また頼むかも」と簡単な会話を交わすだけで取引は終了です。

取引場所は駅前や、コンビニの駐車場など千差万別ですが、私たちが逮捕した密売人のなかには、麻薬取締部の斜向かいの路上で堂々と取引していた者もいました。

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