華はなく、寡作の人だけど良い存在感

4位 脇では地味に堅実に支え、主役でもドヤ感なく甘さ控えめ 中丸雄一(KAT-TUN)

初めて見たのはおそらく「ラストマネー」(2011年・NHK)。保険会社の新入社員役で、華のない感じがいいなと思った。華がないって、実は役者にとっては誉め言葉。華がありすぎたり、自分に華があると思っていると、演じる幅が狭まるからな。「何をやっても同じ」と言われることもない。

脇役でよかったのは、「主に泣いてます」(2012年・フジ系)、「ファースト・クラス」(2014年・フジ系)、「わたし、定時で帰ります。」(2019年・TBS)。それぞれのヒロイン(菜々緒・沢尻エリカ・吉高由里子)をさりげなく支える役だが、実にいい仕事をしていた。存在感が薄いともいえるのだが、女性を際立たせる縁の下の力持ちになっている証拠。舞台装置としての自覚があると思わせる。

主役としては、コメディが抜群に合う。今でも思い出すのが「変身インタビュアーの憂鬱」(2013年・TBS系)だ。ぼっさぼさの長髪に荒れた肌、腫れぼったい一重の斜視で、誰がどう見てもむさくるしい推理作家・白川次郎は筆が進まない時に、好青年・青沼霧生に変身して取材するという設定。大リーグボール矯正ギプスのようなベルトで猫背を正し、アイプチで二重に、コンタクトをしてズラをかぶるという変身シーンが噴き出すほどおかしかった。これを淡々と演じた中丸。存在感の薄さをいかした適役だった。

そもそもは寡作の人。久々の主演「マッサージ探偵ジョー」(2017年・テレ東系)ではコミュ障のマッサージ師役。

写真=テレビ東京「マッサージ探偵ジョー」オフィシャルページより

指圧とマッサージで犯人を特定、事件を解決したりするが、決め台詞や決めポーズがある割に画面に映らなかったりもする。主役なのに! コミカルに暴走する共演陣を悪目立ちさせるほどの低体温。

気配を消せるジャニーズとして、注目していこうと心に決めたひとりである。

適応力の高さは事務所随一

3位 「絵に描いたような馬鹿」も「繊細なインテリ」も 生田斗真

「うぬぼれ刑事」(2010年・TBS系)で演じた俳優・本城サダメの役は、顔も服装もうるさい、絵に描いたような馬鹿だった。頭のネジを1本とる演技は難しいはずだが、なんなら馬鹿すぎて可愛げも生み出していた。

「俺の話は長い」(2019年・日テレ系)では「ああ言えばこう言う」の典型的な怠け者の長男を、「書けないッ⁉~脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活~」(2021年・テレ朝系)ではテレビドラマ制作業界の悪習に翻弄される脚本家役を好演。決して二枚目路線ではないが、愛されキャラとしての立ち位置は確立。

ただし、映画ではかなり幅の広い役柄に挑戦。「脳男」では感情を持たず痛みを知らない殺人兵器のような青年役、「秘密」では超インテリだが暗い影と深い後悔を持つ室長役、「彼らが本気で編むときは」では温かみのあるトランスジェンダーの介護士を演じて話題になった。「生田斗真と言えば?」と聞かれたら何を挙げるか迷うほど、作品によって印象が変わる。事務所の権力に関係なく、才能と適応力が選ばれている気もする。