「死刑になりたい」と「自殺したい」は表裏一体

もっとも、こうした問題のある家庭は、無差別殺傷犯に限らず世の中にたくさんあるだろう。

「どの家族もおかしいし、みんな相当無理して家族をやっているんだよ」と語るのは、家族機能研究所の代表で精神科医の斎藤学氏だ。無差別殺傷犯が育つ家庭は、家族関係のいびつさがみられることが多い。こうした「形だけの家族」にしていることが危険なのだという。

斎藤氏は「家族的な絆は絶対に大切」としたうえで、それは「突き詰めれば母と子の関係」だと述べた。

「まずはお母さんとの間での安定した関係。自己感情っていうものの安定性さえあれば、社会的な交流点を失っても、慌てないで内省的になれる」、そのためには夫婦制度に固執せず、里親里子制度やシングルマザーの経済保護など、子産みと子育ての環境を柔軟なものにしていかないといけないと語った。

世間が母を守ることで、巡り巡って事件を生み出さないことにつながるということだ。

日本は、EU諸国など他の先進国に比べて犯罪は少ない。しかし、反転して自殺は多い。人に迷惑をかけなければ良いという話ではなく、これらは表裏一体ということだ。

「死刑になりたい」無差別殺傷犯について考えることは、そのまま「自殺したい」と思わなくなる社会をつくることにつながるだろう。

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