総菜も厳しい検定を受けたパートの手作りだ。

さらに、惣菜づくりなどの各種技術検定もパートの目標となっている。例えば、惣菜関係では店内で販売するトンカツや寿司、ベーカリーなどの調理について実施されており、各店の味や品質のバラツキをなくし、同一レベルの商品を提供する狙いで始められた。

「所定の基準に合わせて実施し、それらを一つひとつチェックして合否を決める。担当者が拡大しているトンカツの検定は、審査基準がかなり厳しく、その合格率は約5割程度。受かると、ネームプレートの下にバッジが合格の数だけつく。それが励みになっているようだ」と滝口部長はいう。

また、同社では経営目標の一つに4%の売上高経常利益率の達成があり、その水準を達成した場合には社員と同様に決算賞与がパートにも支給される。つまり年3回賞与をもらえる。パートというと、決まった時給で働いた分しかもらえないのが相場。それに反して、成果が収入にも反映されれば、「もっと頑張ろう」となる。

例えば、一日の営業時間のなかで最も売れる時間帯を探し、その日の天候に気を配りながら、品出しをしたりしている。それゆえ、売りそびれや廃棄ロスも少なくなり、収益力がアップする。

近江商人の世界に“三方よし”という言葉がある。三方とは、売り手、買い手、そして世間のことだが、同社には、パートを含めた従業員と会社、そして顧客という三者が満足できる仕組みがある。その原動力こそがイキイキと働く一人ひとりのパートなのだ。彼女たちをそうせしめている理由を川野会長は「おかげさま」という感謝の気持ちだと考えている。

だから、川野会長は毎週日曜日、5~8の店舗を自らの足で歩いて回る。そして、社員だけでなくすべてのパートに「いつもありがとう」と声をかける。「いい店舗かどうかは行けばわかる。店内がイキイキしていて、お客様も実に楽しそうに買い物をしている。うちのパートナーさんは日本一だ」と川野会長は胸を張る。

※すべて雑誌掲載当時

(坂井 和=撮影)