風邪薬は「昭和時代の過去の遺物」
カフコデ®Nには、それ以外に主な成分であるコデイン(中枢性麻薬性鎮咳薬)、ごく少量の解熱鎮痛薬、第1世代抗ヒスタミン薬、気管支拡張薬2種と合計6種類の薬が入っています。今や効果がなく、デメリットが多いとされる薬剤ばかりが入っており、昭和時代の過去の遺物と言ってもよい薬なのです。
感染症診療についてアップデートしていない医療機関ではこのような薬が依然として処方されています。さらに、風邪という診断の際にはこれらの総合感冒薬に加えて、個々の対症療法風邪薬、風邪などのウイルス感染症には効果が期待できない抗菌薬(抗生物質)、抗菌薬の副作用の下痢予防のために整腸薬、多数の処方があるので胃薬……と多くの薬を追加処方されている例も見かけます。
風邪症候群は、本来であれば自然治癒するものです。それなのに、症状を軽減する効果どころかデメリットの多い薬剤を複数処方しているというリアルがあります。
デメリットが多く、発売中止になった薬も
医師の処方箋がなくとも、ドラッグストアでは一般用医薬品の「総合感冒薬」を買うことができます。いわゆる市販の風邪薬です。
図表2に、市販の風邪薬の成分を示しました。市販の風邪薬というのは、成分の組み合わせや量を微妙に変えて、消費者にとってインパクトの大きい新たな商品名をつけて販売しているに過ぎません。同じ商品名で「のど風邪」用、「はな風邪」用、「せき風邪」用、「ねつ風邪」用などと銘打って売られているのは、その配合のバランスを微妙に変えているだけだったりします。
一昔前の医療業界では、「風邪には対症療法薬を!」というのが常識でした。しかし、2000年頃以降エビデンス(科学的根拠)に基づいた医療が求められるようになり、風邪薬の効果が再検証されました。
結果として、対症療法薬の個々の薬剤成分の効果や組み合わせには風邪症状を治したり軽減したりする効果はなく、使用によるデメリットがそれに勝るということが明らかになりました。これが令和時代の今の常識であり、発売中止となった薬も少なくありません。