何度目かの借金発覚

ところが2017年12月、たまたま庄司さん(当時49歳)が探しものをしていたときに、妻名義の消費者金融のカードが見つかる。問い詰めたところ、総額35万円ほどの借金が発覚した。

庄司さんはこれまで、「利子を払うのがもったいないので、なるべく早く返したい」と思い、義母に借りたり、泣く泣く貯金を切り崩したりして一括返済していた。

今回は一括返済できない額ではないが、長男は15歳、長女は13歳となっており、2人は私立の中高一貫校に通っているため家計は厳しい。

「妻がギャンブルをやめられないのは、結局僕が何とかしていたからだろうと思ったので、毎月の返済額を、妻の小遣いから払う形にすることにしました」

妻はその数年前から、1日7時間ほど、近所のスーパーでレジ打ちの仕事をしていた。

働き始めた当初は昼間4時間ほどのパートタイマーだったが、その後、社員になり、そのタイミングで14時〜22時までの勤務に変わっていた。

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そこで庄司さんは、「もう少し時間を増やしてもらうか、掛け持ちで別のバイトでもしたら?」と妻に言った。「ちょっとくらい大変な目に遭わないと、これからもギャンブルがやめられないだろう」という考えからの提案だった。

妻は、結婚当初から家事をしっかりやるタイプでなく、炊事や洗濯はたまにするが、掃除は全くしない。洗濯物は取り込みっぱなし。夕飯の支度がしていない日も多いため、仕事から帰ってきた庄司さんが夕飯の買物や支度、子どもたちの習い事の送迎、洗濯物の片付けや掃除までしていた。

妻は、「ちょっと最近しんどいから、そのうち(仕事を)探すわ」と言う。

確かに妻はここのところ、「だるい、だるい」と言って横になることが増えていた。しかし当時の庄司さんは、妻の借金に悩み、仕事に忙殺され、妻を気にかける余裕がなかった。

それでも休日、子どもたちが以前から通っていた空手教室の強化練習に連れて行った待ち時間に、夫婦で遊園地に寄ったこともある。それが妻との最後のデートとなるとは、当時の庄司さんは夢にも思わなかった。

妻の体調はどんどん悪化していった。平日昼間は仕事でいない庄司さんが、「どうやら妻は最近、スーパーの仕事に遅刻しているようだ」と気付いた頃、今度は10万円ほどの借金が発覚。

「前回の発覚時に僕は、『他にないの? 後から出てきても知らないぞ』と何度も何度も聞いたのですが、隠されていました。妻にしてみれば、隠したはいいが最近体がしんどくて返済が間に合わず、ついに見つかってしまったという感じだと思います」

庄司さんは「もう信じられない、このままではやっていけない」と思った。実は、長女が中学に進学した2015年にも借金が発覚し、そのとき庄司さんは妻に、「次にギャンブルで借金したら離婚する」という誓約書を書いてもらっていたのだ。

もう自分だけでは埒があかないと思った庄司さんは、高校1年と中学2年の子どもたちも交えて、家族会議を開くことにした。