50代の公務員の男性は31歳のとき、ある雑誌の企画「友達募集欄」に投稿したのをきっかけに2歳下の女性と交際・結婚する。2人の子供にも恵まれ平穏な日々だったが、妻のパチスロ通いが発覚。男性の給与口座をすっからかんにするだけでなく、その後も数十万円単位の借金を繰り返した。業を煮やした男性は「離婚」を切り出す――(前編/全2回)。
色鮮やかなパチンコ台
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この連載では、「ダブルケア」の事例を紹介していく。「ダブルケア」とは、子育てと介護が同時期に発生する状態をいう。子育てはその両親、介護はその親族が行うのが一般的だが、両方の負担がたった1人に集中していることが少なくない。そのたった1人の生活は、肉体的にも精神的にも過酷だ。しかもそれは、誰にでも起こり得ることである。取材事例を通じて、ダブルケアに備える方法や、乗り越えるヒントを探っていきたい。

今回は、20年以上連れ添った妻が突然の病に倒れ、介護が始まった50代男性の事例。妻は結婚後、子どもが2歳になる頃からギャンブル依存症になり、借金してまでスロットにのめり込むため、何度も男性は妻と話し合い、やめさせる努力を重ねてきた。それでも妻は、数カ月〜4年ごとに借金を繰り返していたため、ついに男性は子どもたちも交えて話し合い、離婚を決意。そんな矢先のことだった。

妻との出会い

関東在住の庄司照章さん(仮名・50代)は、大学を卒業し、一般企業の会社員となった後、約3年で退職し、公務員に。

31歳のときに、雑誌の友達募集欄に投稿したところ、何人かの応募があり、その中の一人が現在の妻だった。

庄司さんは彼女と待ち合わせて、映画や食事に行った。2歳年下で、高校を卒業してから専門学校に行き、医療事務をしているという彼女は、明るく社交的で話が弾んだ。やがて庄司さん33歳、妻31歳で結婚。妻は結婚後、仕事を退職。その2年後には長男、さらに2年後に長女が生まれ、穏やかに暮らしていた。

暗雲が立ち込めてきたのは、妻37歳で、長女が2歳になる年、保育園に入園した後のことだった。