損失が増えれば“反プーチン”に転じる可能性が高い
独立系世論調査機関のレバダセンターによれば、ウクライナ侵攻への支持率は4月末に74%で、1カ月で7ポイント下落した。82%が「ウクライナ情勢を懸念している」と答えた。
国内での反戦運動は下火になったが、開戦後、推定30万人のロシア人が、戦争反対や生活苦、ビジネス活動への支障を理由に、旧ソ連諸国などに脱出したとされる。IT産業などに従事する若い知識層が大半とされ、有能な人材の流出につながっている。
開戦後、大統領に辞任を申し出ながら、説得されて撤回したナビウリナ中央銀行総裁は議会で、「制裁の影響はまだ完全に表れていない。製造業では供給が不足し、輸入消費財の備蓄も減少している」と述べ、「最悪の事態」がやがて来ると警告した。
前出のワシントン・ポスト紙によれば、「ロシアのビジネスエリートは開戦後、恐怖で凍り付いたままだが、戦争が長引き、彼らの損失が増えると、政権に反発する可能性が高まる。ロシア軍が天王山のドンバス決戦に失敗するなら、ロシア国内で大きな戦いが起きるとエリート層の間で語られている」という。
戦争長期化で、「プーチン対ビジネスエリート」の対立構図が生まれつつある。