「チルい」「きまZ」……日本語は“使ったもの勝ち”

例えば「新しい」はもともと「アラタしい」だったのが、平安時代に「音位転換」が起きて「アタラしい」で定着したそうです。「シュミレーション」もインフルエンサーが言い続ければ定着するかもしれません。

他にも、明治時代、犬が「カメ」と呼ばれたのも、誤解がきっかけでした。西洋人が犬を呼ぶときに「come, come」と言っているのを聞いて、「カメ」が犬を表す言葉だと思われたそうです。さすがに今は、誤解は解けたようですが、このように適当なノリで単語が生まれるとは、日本人はまじめに見えて実は自由な感性の持ち主なのでしょうか。

若い世代の略語や新語の使い方を見ると、日本人にもともと備わっている柔軟性を感じます。年を取るにつれ、融通がきかなくなって、昔の表現に固執してしまいますが、何歳になっても若者言葉を取り入れてもいいし、新語を作ってもいい、と思えば、可能性が広がり、脳が若返りそうです。

といっても「チルい」(気持ちが落ち着く意味のchill outのチルを形容詞化)とか「きまZ」(気まずいの意、読み:きまぜっと)とか、いきなり使うのには勇気がいりますが……。日本語は「使ったもの勝ち」かもしれない、と、この本を読んで勇気をもらいました。

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