「よくってよ」…遊女の話し方を女学生が好んで使用
この項で意外だったのは「お嬢様らしい『よくってよ』は遊女の言葉」というもの。
江戸時代の遊女の話し方を、明治時代以降の女学生が好んで使用、夏目漱石の小説などにも使われて定着したそうです。はすっぱな感じが、お嬢様にはむしろかっこよく感じられたのでしょう。いつの時代も女学生は、わざとワイルドな言葉を使いたがるものなのかもしれません。
さまざまな人種や時代の言葉を取り込む日本語。同書の第5章では「便利で奇妙な外来語」が取り上げられています。「どうして日本語には外来語が多いのですか」という素朴な質問もありました。ヨーロッパの言葉は、名詞が「性」を持っているので、どの性に属するかが決まらないと使うことができないとのこと。でも日本語は、読み方さえ決まればすぐにでも取り入れることができます。
というか、読み方すら統一されないまま入ってきている外来語もけっこうあるような……。最近話題の「Sustainable」(持続可能な)などは、「サステナブル」「サスティナブル」「サステイナブル」などが入り乱れています。大きなメディアが使った読み方、もしくは多数派が勝ち残っていくのでしょうか。
日本語は、単語そのものは語形変化せず、「◯◯する」「◯◯な」と、助詞や接辞を張り付けるので、「新語」を受け入れやすい、とのことでした。
読み方が統一されていないだけでなく、本来とは異なる発音が定着してしまうこともあります。「『シミュレーション』が『シュミレーション』と発音されるのはなぜでしょうか」という質問にはハッとしました。この2つの単語は個人的にもよく間違えていて、また同様に「フィーチャー」と「フューチャー」も、どちらが正しいのかわからなくなりがちです。
この質問に対する答えは、「英語の綴りは『simulation』ですから、正しいのは『シミュレーション』です」でした。ただ、本来とは異なる発音が多くの人によって繰り返し使用された場合、それは「発音のゆれ」とされるそうです。そして、言い誤りが定着して、正しい形と見なさせる場合もあるとか。