既存の仕組みを変えるなら劇的に
「1000万円支給」と言うと、必ず「財源はどうするんだ?」といった反論が出てきます。でも、すでに社会保障費は膨れ上がって、年金を今後どうやって払うのかも見えないまま国の借金を増やし続けているのだから、国債を刷って支給してしまえばいいと思います。
子どもへの投資は結果的に国を豊かにします。
日本人1人あたりの生涯賃金は2.7億円(大卒の場合)、生涯納税額は約4000万円とも言われています。こう考えると、1人に1000万円配っても、子どもが増えたら国としてはしっかり元がとれるんですよね。
このように、既存の仕組みを改善したいときには、インパクトのある解決策が必要なんです。劇的に変わるようなインパクトがないと、社会システムなどの仕組みは変わりません。
何かを劇的に変えると、人も社会もそれまでとはまったく違う道に進む可能性が出てきます。なので、解決策は、インパクトが大きいほうが効果的です。
極端な発想が「別の答え」を生む
このように、問題を解決するうえで、仮説を立てる作業は欠かせません。
仮説というと難しく感じるかもしれませんが、要は「こうしたら、うまくいくんじゃね?」という仮の答えを出すことです。
解決策を出すためにいろいろと調べていくと、仮説が見つかったりします。仮説は、何もゼロから自分で考える必要はありません。海外や他者の成功例をパクったりアレンジするのも立派な仮説なので、似たような問題がないかググってみればいいのです。
そして、成功確率が高そうな仮説を立てたら、必ずやることがあります。
それは、検証です。
仮説は立てただけでは意味がありません。それが正しいのか間違っているのかを検証して、問題点が見つかったら軌道修正する。それによって、仮説の精度を高めていきます。
そして、仮説を検証する際にも、「極端な発想」は、とても大切です。
たとえば、日本の財政問題に対して、「政府が日本円を刷っているから、国債をいくら発行しても財政破綻しない」という意見があります。本当にそうなのであれば、「5000兆円刷ったらどうなるのか?」を一度シミュレーションしてみればいいんです。そうすれば、「成立しないよね」という結論になるでしょう。
IT系のシステム設計ではよくやるのですが、仮説を立てたときに、極端な値を入れてみるんです。それで成立するのなら、その仮説は正しいとわかります。仮に100万人が使うシステムを設計するときであれば、その10倍の1000万人がアクセスしたらどうなるかを試してみるんです。
IDを管理するサーバーが1台なら、ユーザーがログインするときは必ずそのサーバーにログインします。でも、そのサーバーが1秒間に1000人分しか処理できない場合、1時間で最大360万人しか入れません。つまり、1時間に1000万人を処理するのはムリだとわかります。
さらに、ボトルネックになっているログインサーバーが落ちたら、このシステム自体が動かなくなります。ということは、最初からログインサーバーを増やせるように設計しておけば、ログインサーバーの一つが落ちても、ほかのサーバーが動くので安心ということになりますよね。
このように、極端な数字でシミュレーションしてみると、どこがトラブルの元になるかがわかるし、逆に成立したらその設計は正しいと確認できます。
極端な数字を入れるということを続けていると、たまに成立するときもあるんです。たとえば、予算のやりくりで困っているときに、人件費をゼロにして計算してみたら、まったく別の答えが出てくることもあります。