気づかないところで「日本株売り」が進んでいるかもしれない
4月26日の日本経済新聞の「一目均衡」というコラムに編集委員の川崎健氏が「上滑りの『新しい資本主義』」というタイトルで記事を書いていた。その中で、「岸田氏に最も近い側近で、新しい資本主義の発案者と目される木原誠二官房副長官の発言」を取り上げている。これまで岸田首相が発言してきた「金融所得課税の早期引き上げ」「自社株買いの規制」「四半期開示義務の廃止」について明確に否定した、というのだ。もっともこの発言は、野村証券が主宰する機関投資家向けのテレビ会議でのことで、市場向けのリップサービスの可能性も十二分にある。木原氏は、市場をなだめておかないと選挙を戦えないと考えたのではないか。
それくらい岸田首相就任後の株価下落は深刻だ。前述の金建て日経平均株価の指数を、岸田首相が就任した2021年10月4日を100としてみると、我々が日頃見ている円建ての日経平均株価との差が歴然とする。4月25日現在、円建てでは6.5%の下落にすぎないが、金建てにすると26.1%の下落である。我々が気がつかないところで、深刻な「日本株売り」が進んでいるのかもしれない。