「親にさんざん迷惑をかけてきました」志望学部を医学部から薬学部へ
次男のことに話を戻そう。
志望校は国立大学の医学部なのだが、昨年までのセンター試験では、200点以上、合格ラインに点数が足りていない。今年の結果は不明だが、志望校の偏差値が高すぎるため、厳しそうである。そこで、次男に単刀直入に聞いてみた。
「受験を続けることを否定したくはありませんが、親御さんの貯蓄額を考えますと、このまま受験勉強を続けるのは難しい現実があることは、伝わりましたよね。ですが、今すぐ、受験をやめることを受け入れるのは難しいでしょう。そこで、志望学部を変更して、あと1回か2回だけ、受験を許してもらうというのは、どうでしょうか? たとえば医学部受験はあきらめて、薬学部などに進路変更することは、受け入れられませんか」
すると、数分間の沈黙の後、こう言いました。
「今まで頑張ってきましたから医学部生にはなりたいんですが、あと1~2回の受験で希望がかなう保証はないので、受け入れるしかないかもしれません。親にはさんざん迷惑をかけてきましたから」
医学部生になるために、人生の多くの時間を過ごしてきた次男にとって、気は進まないのかもしれないが、あと1~2回の受験がリミットである、厳しい現実は伝わったようである。
あと1回か2回不合格なら受験はあきらめて、社会に出て働く
結局のところ、合格は本人が勝ち取るしかないし、それは1年でも早いほうがいい。そのためには受験する学部を変更して、何とか合格を狙えそうな学部に目標を定めなおすことが必須だと思われる。
あと1回か2回の受験で合格できなかったら、受験はきっぱりとあきらめて、どんなに嫌であっても、社会に出て働く。親は家計を立て直す努力をする。受験できる回数が制限されることで、親と子、それぞれに覚悟が持てることを願っている。
※編集部註:初出時、36歳の次男は「高等教育の修学支援新制度」の利用が可能としましたが、この制度の申し込み要件は「高校などを卒業してから2年の間までに大学などに入学を認められ、進学した者」(文部科学省HP)のため申し込みできませんでした。訂正します。(3月1日14時50分追記)