20年前は質の悪いスーパーだったが…
那波秀和社長に聞くと、今から20年前に先代経営者から請われて店長になった時には、「店は暗い、品質は悪い、安物しか並んでない、そして人もだめだった」そうです。同社の抱える負債も4億円以上ありました。社長はそれを少しずつ改革していきました。
「大変でしたね。息がつける状態まで引き上げるのに10年かかりました。まずは10%の社員をやる気にさせ、20%、30%と少しずつ上げていき、やる気のある社員が51%を超えたときに売り上げが飛躍しました。それを実現する原動力になったのは、情熱しかなかったと思うのです」
部下のマネジメントの基本は「放っておく」
人を育て続けてきた那波社長のマネジメントは徹底しています。それは「放っておく」ということ。仕入れも売り場も販売も、小売業の命でもある値付けでさえも各担当に任せています。
それにしても仕入れ基準はあるだろうと聞いてみると、
「ここから下は仕入れるな、という話はしていますが、個別の価格も品質も一切指示していません。わたしからは何も指示していないのと同じなのです(笑)」
実際、各売り場担当は自分で生産者と話し合い、生産者の商品を見て、触って、味わって、その生産者の買ってほしい価格で仕入れているそうです。
放っておく→すると自分で考えざるを得なくなる→自分でいい商品を探す→売れると楽しくなる→また探す→売れる物が増える→楽しさが倍増する→仕事に行くのが楽しくなる。
だから主体的に仕事をする社員が育ち、店には質の高い商品が並び、たくさんのお客さんが何度も来店する繁盛店になるのです。
ひまわり市場のスタッフからは、自分の思うようにやらせてもらえるし、失敗しても責められることがない。「社長が社員を信頼してくれているから、仕事が楽しい」と話す社員の言葉が印象的でした。
広告やチラシの作成を一切行わないワケ
ちなみに、ひまわり市場は広告もチラシも一切いれません。
すべてお客さんがクチコミで広げてくれるので集客にお金を使う必要がないのです。
だからその分を、いい商品の仕入れにまわし、一生懸命に仕事をしているスタッフの給料に充てることができるのです。
取引先にも、もうけてもらい、お客さんにも納得のいく商品を買っていただく。お客さんは満足するので、またひまわり市場に行きたくなる。
これがひまわり市場のつくる善循環の仕組みです。