特徴② 仕入れに対するシンプルな哲学

ではこの商品の仕入れはどのように行っているのか。

同社の敏腕バイヤーで商品部統括リーダーの高橋美裕さんに仕入れのコツを聞くと、

「自分が食べたいと思うかどうかじゃないでしょうか。あとは作り手の情熱を感じたら買ってしまいます」と答えてくれました。

まさにシンプル。バイヤーの本質を突いた言葉です。

しかしこんな仕入れができているバイヤーが全国どれだけいるでしょうか。私はほとんど知りません。それだけ、商品の品質にこだわりがあるのです。

バイヤーの名前入りポップが目を引く
筆者撮影

原価交渉は生産者と一切行わない

「それは小売業として当たり前だ」「それは食品を仕入れるプロとして当然だ」という声もあるでしょう。他と異なるのは、ひまわり市場では「原価交渉は一切しない」というのを鉄則にしている点です。

店だけもうかって生産者がもうからなければ意味がないと思っているのです。

値段の交渉をする代わりに、どうしたらもっと商品の価値を伝えることができるのだろうかと日々考えているとのことです。

実際に売り場に陳列されているすべての商品を見ましたが、私が見たことがない商品が半分以上でした。これまで食品スーパーは3000店舗以上は見ていると思います。

それでも知らない商品ばかりなのです。しかもおいしそうなものが多い。

定番1に対して独自の品ぞろえが3~5はあります。ここまでこだわった品ぞろえの店は東京でもないでしょう。ではなぜ、そんなにいい商品が入ってくるのか。目利き力もありますが、商品の生産者が「ここなら販売してほしい」と思うからなのでしょう。

マイクを手にする店員
筆者撮影
特徴③ やる気を出させる人材育成方針

ひまわり市場のスタッフは、よく見てみると、みな楽しそうに仕事をしている気がします。お客さんとも笑顔で会話し、時にはお客さんの名前を呼んで、手を振ってあいさつしています。

生産者だけでなく、お客さんとの距離も圧倒的に近い。

ひまわり市場の最大の魅力は、こうした人材なのでしょう。魅力的な人材が育っているからこそ、魅力的な商品が集まり、お客さんが集まる。

それは、同社の経営理念と3つのお約束に表れています。

「お客様を大切にする心、食材を大切にする心」「人を大切にする」ことが書かれています。「ひまわり市場」は、企業は人がすべてであると本気で思っています。