子供がわからないことを「見える化」する

次の問題はいきなり文章が登場。

考学舎で使われている、絵を文章で説明させる教材。(撮影=萩原美寛)

「青い空に太陽と雲が浮かんでいます。太陽は、右上にあり、横に長い雲が左下にあります。」という文を読んで、その通り白紙に絵を描いていく。ここでは、文を絵で正確に表すことが求められる。

このドリルは、絵を見て文を書く、逆に文を読んで絵を描くという双方向のトレーニングを、楽しみながらできる仕組みになっている。

「これを30問ほど解いていくと、今まで読み書きが苦手だった子も、できるようになりますよ」と、先生は自信たっぷりにいう。

たしかに、親しみやすい絵を介することで、作文が苦手な子も取っつきやすくなるだろう。また文を絵にする場合は、描かれた物、色、配置などで、文の読解力が具体的に見えてくる。

この読み書きトレーニングは、実に画期的なアイデアだ。

「今の子はすぐに『うん、わかった』といいます。実はわかっていないのです。ここが大きな問題」

その場を「わかった」という言葉でやりすごし、早く終わりにしたいという意識が働くのかもしれない。

しかし坂本先生は、「そもそも、自分がどこがわからないか理解できない子がいるんです」という。その上で「わからないことに気づくことが何より大切」と強調する。

『プレジデントFamily2022年春号』

絵を文に、文を絵に「変換」しながら、読み書きでわからない部分を見つける。この方法を先生は「わからないことの見える化」という。

たしかに本人がわからないということに気づかなければ、学力の向上はおぼつかないだろう。

「そうとも限らないから困るんです。器用な子は問題と解答のパターンを覚えたりして、勘で解いていくことができるんです」

しかし、そういう子も記述式解答や長文の読解で、やがてつまずくのだろう。いつまでもごまかしが利くとは限らないのだ。