子供が作文力をつけるにはどうしたらいいのか。教育関係のルポ作品も多い芥川賞作家の藤原智美さんが、現代の寺子屋「考学舎」代表・坂本聰さんが考案した「絵を見て文を書く、文を読んで絵を描く」ドリルの仕組みを取材した――。

※本稿は、『プレジデントFamily2022年春号』の一部を再編集したものです。

「考学舎」代表・坂本聰さん
撮影=萩原美寛
「考学舎」代表・坂本聰さん

絵を見て文を書く、文を読んで絵を描く

コロナ禍の影響で、学力の低下が心配されるが、学習の基礎となる読み書きの力はどうなのだろうか。家庭にいる時間が増えたぶんだけ、読書、日記を書くなどして、学力低下を補うことも十分可能なはずだが、現実は難しいようだ。

生活時間の調査では、この2年、家庭でSNSやゲームにさく時間が増えてしまった、という子供たちが目立って増えている。

この厳しい現実に対して、考学舎(東京都渋谷区)を主宰する坂本聰先生の処方箋は、ずばり「読み書きの力をつけるトレーニング」だ。

「家庭でも、親御さんのサポートで、読み書きの力をつけることはできます」という。しかし、私などは「トレーニング」と聞くと、どうしてもスパルタ教育のイメージが先に立つ。実際はどんなものなのだろうか。

まずテキストとして用意するのが『お絵かき作文ドリル』(坂本聰/朝日新聞出版)。問題1を開くと、青空に太陽が昇った構図をシンプルに図形化した絵が出てきた。なるほど、いきなり白紙に文字を書くのではなく、わかりやすい絵が示されると、取り組みのハードルが下がるに違いない。

解答はこの絵の説明文の空欄に単語を入れること。たとえば[空に][赤い][太陽]があります。こんなぐあいに文を完成させながら、文章力をつけていくという仕組みだ(※)

※編集部註:「どこに?」「どんな?」「何が?」という設問に解答する形。

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