資産として評価されるダイヤモンドは「裸石」である

資産としてのダイヤモンドは、「ダイヤモンド・ルース」に絞られます。「ルース」とは日本語で「裸石」のことです。

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裸石は、原石とは違います。地中から掘り出されたままの石が「原石」です。その原石にカットや研磨などの加工を施して、美しい光を放つ状態にした石が「裸石」、つまり「ルース」です。指輪などの宝飾品は、金やプラチナなどの地金で枠を作り、そこにルースをはめ込んでできあがります。

ルースという言葉は、ダイヤモンドに限らず、他のどんな石にでも使います。ルビーやエメラルドなどの色石も、同じ状態のものは「ルース」と呼びます。一般的に販売されている指輪などのジュエリーにはめられたダイヤモンドは、ルースではありません。もちろん、「実物資産」としてのダイヤモンド・ルースをジュエリーに加工することは可能です。

ダイヤモンドは、工業用、アクセサリークオリティ、ジュエリークオリティ、そして資産用レベルの「ジェムクオリティ」と、ランク分けされています。天然石の分類としては同じ「ダイヤモンド」ですが、GIA(米国宝石学会)が開発したダイヤモンドの評価基準である4C(カラット=重さ、カット、カラー=色、クラリティ=透明度、の判定)がつくレベルとつかないレベルに分けられ、そして、4Cのつく中でも希少なものが「資産用ダイヤモンド」となるのです(詳細は『資産防衛のための ダイヤモンド投資』の第5章を参照してください)。

「投資」と「資産防衛」の違いとは何か

ダイヤモンド投資は、投資でもありますが、資産防衛としての性格が強いと言えます。では、「投資」と「資産防衛」の違いとは、何でしょうか?

投資の最大の目的は、お金を増やすことです。お金を増やすためには、価値増殖、つまり「利回り」が必要です。利回りがあることで、元本プラスアルファの価値となり、収益を得ることが可能になります。

それに対して、資産防衛の目的は、お金を守ることです。お金を守るためには、投資と同じように価値増殖が必要です。そうでないなら、お金を守ることにはなりません。

資本主義経済である限り、時間の経過とともに経済が成長し、規模を拡大するような仕組みにならざるを得ません。成長しなければ、その経済の構成員が資本主義の恩恵を享受できないようになっているからです。経済全体が成長している中で、資産が増えなければ、実際には相対的に目減りをしていることになります。価値増殖できなければ、資産防衛にはならないということです。

そして資産防衛には、投資以上のハードルが課されます。それは、価値増殖と同時に、減らしてはならないからです。