達成後一切働かないか、少し働くかFIREの4パターン

さて、ここまでは、仕事を完全リタイアしてFIREすることを前提にお話ししてきましたが、投資リターン5%、貯蓄率50%でも完全リタイアまでに20年近くかかるということにびっくりした方もいらっしゃるでしょう。

20年といえば、現在25歳の人が45歳、30歳の人なら50歳になってしまいます。「そんなに長くかかるのか……」というのが正直な感想ではないでしょうか。

たしかに、そんなに遠い未来の話をしたところで、モチベーションはなかなか上がりませんし、一時的に上がっても持続しませんよね。

でも安心してください。というのも、もっと早く実現できるFIREのやり方があるからです。一口にFIREといっても、いろいろな種類があるのです。

FIRE達成後、一切働かないか、それとも少しは働くか、生活を切りつめるか、切りつめないか、などでタイプ分けしたのが図表3です。

理想は不労所得で暮らせる「Fat FIRE」だが実現は難しい

それぞれのFIREについて解説しましょう。

(1)Fat FIRE(ファット・ファイア)

「Fat」には「太い、肥満した」という意味の他に「豊かな、肥沃な」といった意味もあります。

資産収入(不労所得)のみで生活できるFIREをこう呼びます。

資産がたくさんあって、そこから得られるインカムゲインだけで十分、リッチな暮らしができる人たちです。

もちろん、FIREを目指すからには、このタイプになりたいと思いますよね。

しかし実際に、一切働かずに株主配当金や賃料収入、債券の利息などの不労所得だけで豊かな生活を送るためには、かなりの資産が必要になります。

現実的には、元々、土地や株などをたくさん持った資産家か、事業で大成功した人でもない限り、ちょっと実現は難しいかもしれません。

(2)Lean FIRE(リーン・ファイア)

このタイプも資産収入のみで生活するFIREです。Fat FIREとの違いは、日々の暮らしがリッチかそうでないか、です。

「Lean」とは、日本語訳すると「無駄がない」とか「余裕がない」という意味なので、Lean FIREとはすなわち「資産収入だけでなんとか生活できるが、生活に余裕はない」ということになります。

いわばストイックな倹約生活を送ることで、少ない資産でもなんとかやりくりしていこう、というタイプのFIREといえるでしょう。