住民税は「どこも一緒」ではない?

日本に住み、一定の収入を得ていれば誰もが払う住民税。税額は全国一律と思っている人も多いのですが、実は若干のばらつきがあります。

住民税の課税方法には、「均等割」と「所得割」があります。この2つの税額を合算したものが、払うべき税額です。

均等割は、一定以上の所得のある人に対し同じ金額を課すものです。生活保護受給者など以外は、原則としてすべての人が払わなければなりません。

標準税額は市町村民税3500円、道府県民税1500円ですが、自治体によって若干の違いがあります。

たとえば、宮城県では県民税の均等割が2700円です。これは、標準税率の1500円に「みやぎ環境税」の1200円を含めた数字です。森林や海洋環境の保全などのため、2011年から導入されました。

所得割は、所得の額に税率をかけて算出されます。標準税率は、市町村民税が6%、道府県民税が4%で合計10%です。

所得割についても、自治体によって差があります。たとえば神奈川県は2017年から2021年まで、所得割が4.025%で、標準税率より高く設定されています。また、名古屋も2017年までは5.7%と安くなっていました(2022年現在は7.7%)。

ちなみに国民健康保険の場合、自治体による違いはもっと大きくなります。

国民健康保険とは、自営業の人や年金暮らしの人などが加入する健康保険です。この保険料は、世帯ごとに課せられたり、個人ごとに課せられたり、収入に応じて課せられたりと、計算方法が市区町村によって本当にバラバラなのです。年間数万円単位で差がついている場合もあります。

このように、どの都道府県、どの市区町村に住むかによって、負担する税金、社会保険料は大きく変わります。引っ越しなどを考える際には、検討材料とした方がいいかもしれません。

「日本の富裕層の税金は高い」という大ウソ

「日本の金持ちは世界でもトップレベルの高い税金を払っている」こんな話はよく聞きます。インターネットでも、「日本の富裕層は世界一高い所得税を払っている」といった意見を目にすることが少なくありません。

しかし、これはまったくのデタラメです。

たしかに、日本の所得税の最高税率は45%で、先進国ではトップクラスです。これだけ見れば、日本の金持ちはたくさん税金を払っているように見えるかもしれません。

が、日本の所得税にはさまざまな抜け穴があって、名目税率は高いのだけれど、実質的な負担税率は驚くほど安いのです。むしろ、日本の富裕層は先進国でもっとも税金を払っていないと言えるのです。

日本の富裕層がいかに税金を払っていないかは、アメリカと比較するとわかりやすいでしょう。

富裕層の最高税率だけを見れば、日本は45%、アメリカは37%なので、日本は8ポイントも高くなっています。しかし、実際に支払われた税額はどうでしょうか。2021年度予算における日本の所得税収は、わずか18.7兆円に過ぎません。

一方、アメリカの所得税収は、約200兆円です。なんと日本の所得税収は、アメリカの10分の1以下しかないのです。

日本の経済規模はアメリカの4分の1ですから、明らかに日本の所得税収は少なすぎます。経済規模を考慮しても、日本の所得税収はアメリカの半分以下と言えるのです。

ほかの先進諸国と比較しても、同様の結果となります。

アメリカ、イギリス、フランスなどは、いずれも所得税の税収がGDPの10%前後です。が、日本の場合、6%程度しかありません。ほかの先進国の半分くらいしか所得税収がないのです。

先進国では、所得税収の大半を富裕層が負担する状態になっています。所得税収が少ないのはすなわち、富裕層の税負担が少なすぎるのです。

いかに、日本の金持ちの税金が抜け穴だらけか、ということです。

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