結果は意図的に隠されていたのではないか

ここでひとつの疑念が浮かび上がる。なぜ「中間報告書」でこの2月15日の尿検査が行われた事実が公表されなかったのか。この件については「最終報告書」とともに出された「別添【1月15日から3月6日までの経過等の詳細】」において「調査チームは,この尿検査結果について,中間報告後の調査により把握するに至った」と記載されているが、これも極めて不可解な話だ。

瑣末な出来事ならともかく極めて重要な情報だ。それが後から出てきた。そして担当医も記憶が定かでない。どう考えてもおかしいだろう。私はこの日の尿検査に関する一切が「最終報告書」まで意図的に隠されていたとの強い疑いを持っている。

そもそも今回の事件を通して批判されてきたのは、点滴や栄養剤投与はおろか、検査すら十分に行われなかったという、ウィシュマさんに対する医療行為が極めて些少であったことだ。その中にあって尿検査は数少ない医療行為のひとつ。

入管側としても「放置していたわけではない、検査はしていたのだ」とアピールできる貴重な要素でもあるはずだ。放置死との批判をかわすためには、どんなに些細な医療介入でも見つけ出して公表しようとするはずであるのに、この尿検査だけは「中間報告書」には載せなかった。これはこの検査結果を公表したくなかったからと考えるのが至極自然ではないだろうか。

つまりこの2月15日が、ウィシュマさんの生死を決定づけた日だったのではないか、私はそう確信している。(後編につづく)

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